【名南歯科貿易株式会社】
新美 洋平社長インタビュー
1998年に名古屋大学法学部を卒業後、2001年にニューヨーク州立大学にてMBAを取得。同年、アクセンチュアに入社し、オーストラリア駐在を含む海外経験を経て、2007年に名南歯科貿易株式会社に入社。2015年より同社代表取締役社長に就任し、歯科医療業界の発展に取り組んでいる。
■ 名古屋大学法学部 卒業(1998年)
体育会のラクロス部に所属していました。当時は日本に入ってきたばかりの競技で情報も少なく大変でしたが、練習方法をみんなで考えたり、新入部員を勧誘したりした経験は、今となっては本当にいい思い出です。
また、ラクロスは新しいスポーツだったため、他大学の部員と組合をつくり、それを通じてラクロスを浸透させる活動にも取り組みました。これも非常に刺激的でした。
当時はベンチャー企業ブームだったこともあり、名古屋で有名だったベンチャー企業でインターンを経験しました。その会社が東京に進出することになったため、思い切って半年間大学を休学し、先輩方に同行して東京に住み、営業回りを経験させてもらいました。
このときに培った度胸とプレゼンスキルが、今のYouTube発信につながっているのかもしれません。
■ ニューヨーク州立大学 MBA取得(2001年)
大学卒業後、ニューヨーク州立大学に留学しました。
社会人経験がないままMBAに入ったため、授業についていくのは大変でした。しかし、膨大な量の宿題や課題図書をなんとかこなす中で、鍛えられた実感がありました。MBAを無事に取得できたことで、大きな自信を得られたのも事実です。
■ 前職:アクセンチュア(2001年~2007年)
20代は、社会人としていろいろな経験をしたいと考えていました。また、留学で社会人になるのが遅れた分、早く自分を成長させたいという焦りもありました。
当時ブームになっていたコンサルティング業界なら、厳しい環境で自分を成長させられるのではないかと考え、入社しました。
主に通信・ハイテク企業向けに、大型システム導入、マーケティングリサーチ、企業理念の策定など、様々なプロジェクトを経験しました。
確かに仕事は思っていた以上にタフでしたが、自分で考える、積極的に前に出る、全体を俯瞰して見る姿勢など、今の経営者としての土台を学ばせてもらいました。
入社2年目ぐらいからどんどん責任を任されるため、プレッシャーもありましたが、成長のスピードは本当に速い会社だったと思います。最後の1年はオーストラリアのプロジェクトで働く機会もあり、密度の濃い7年間でした。
父が創業した会社だったため、子供の頃から会社を継ぐことを意識していました。20代はアクセンチュアで過ごし、30歳で歯科業界に入りました。
海外志向が強かったこともあり、海外メーカーとやり取りしながら取扱製品を広げていけること、歯科医療に貢献できるやりがいを感じられることから、あまり迷わず入社したと思います。
私が入社した当時の当社は、10人ほどの小さな所帯で、家族経営のようなアットホームな雰囲気でした。今と違って歯科医院数もまだ増加傾向にあり、成長性と安定性という意味で、高いポテンシャルを感じました。
歯科業界はニッチな業界というイメージがあるかもしれませんが、歯科医院数は6万5,000と実はコンビニよりも多く、市場規模はかなりあります。これだけの規模がありながら、新製品を出すと比較的すぐに反応があります。この市場規模感に、挑戦しがいがあると感じました。
当時は今のように器械の取り扱いが少なく、歯科材料がメインでした。
そのため、売上を伸ばすには、歯科器械を増やすことで成長の余地があると感じていました。これを実現するには組織の拡大も必要だったため、社員の採用と組織の仕組み化を進めました。
企業ロゴは、社名の名南歯科(MeinanDental)の「M」と「D」をかたどったものです。鳥が世界に羽ばたくようなイメージと、地球上を回る小さな丸が、海外から様々な製品を日本に持ってくるイメージを表しています。
また、今年からロゴマークに「歯科をもっと面白く。」という企業スローガンを追加しました。これは、当社の製品を使うことで、ユーザーである歯科医師や歯科技工士の皆様に、歯科の仕事は面白いと思ってもらいたいという想いを込めたものです。
さらに、当社のYouTubeも、歯科の業界ニュースや歯科製品について面白く説明したいという考えで運営しています。こうした当社の姿勢を最もよく表す言葉として、このスローガンを作りました。
ミッション:
挑戦と感謝で、歯科と製造の現場に確かな価値を届ける
ビジョン:
歯科の未来を支え、社員と共に成長し続ける企業へ
バリュー:
当社の事業内容は、歯科医療機器の輸出入卸販売です。
特に、歯科医療の高度化やデジタル化を担う製品——3Dプリンター、歯科用3Dスキャナー、歯科用CADソフトウェア、歯科用マイクロスコープ、口腔内カメラなど——を世界から厳選し、歯科医院・歯科技工所を中心に提供しています。

強みは3つあります。
1つ目は「商品力」です。
グローバル視点で最適な製品を選定し、単に機器を販売するのではなく、歯科医療現場の課題解決をスタート地点として、その製品がお客様の現場でいかに価値を発揮するかを常に考えています。
2つ目は「情報発信力」です。
YouTubeやSNSを通じ、当社製品の使い方や導入メリットだけでなく、歯科業界トレンドについても教育的なコンテンツを継続的に発信しています。歯科医師や歯科技工士が判断できる情報を届けることで、信頼関係を築いています。
3つ目は「サポート力」です。
新しい機器を導入する際には、使いこなせるか、メンテナンスは大丈夫か、といった不安がつきものです。そうした不安に対して、導入前後の丁寧なサポート、トレーニング、トラブル対応を行っています。
創業45年で築いた信頼と、デジタル化時代への適応を両輪に、歯科医療の現場を支える企業として歩んでいます。
製品選定で最も重視するのは、「その製品が持つ『しずる感』があるか」という点です。
しずる感とは、自分が歯科医師や歯科技工士だと仮定したとき、その製品を目の前にして「よだれが出てきそうなくらいほしい、使ってみたい」と直感的に思えるかどうか——そのくらい魅力的だと感じられるかということです。
この感覚がないと、いくら優れた機能を持った製品でも、現場では売れません。
また、最近はYouTubeでの情報発信を強化していることもあり、その製品の説明動画をつくりたいと自分が思えるかどうかも重要な指標です。つまり、その製品自体に、視聴者に伝えたくなるような魅力があるかどうかを見ています。
その上で、新規取引先メーカーの場合は、さらに多角的にチェックします。
メーカーの思想や歴史、デザイン性、品質に対する想いがどの程度本気なのか。そして実務的には、メーカーの窓口担当者とのコミュニケーションが取りやすいかどうか——これはビジネスを継続していく上で、非常に重要な要素です。

昨今の人手不足に加え、歯科医療の保険制度がデジタル化を推進していることもあり、歯科医院や歯科技工所にとって、デジタル化は急務となってきました。
一方で、課題もあります。デジタル製品は、これまでのアナログ製品から簡単に切り替えられるわけではありません。社内のワークフローや、社員のデジタル製品への習熟など、ユーザー側にも越えるべきハードルがあり、それは決して低くありません。
こうしたことから、できるだけわかりやすく歯科のデジタル化について理解できる動画や資料をユーザーに提供することが、当社の役割だと思っています。
今の歯科ではデジタル化が必須ですが、すべてのワークフローをデジタルに置き換えられるわけではありません。
例えば入れ歯の製作一つをとっても、CAD/CAMや3Dプリンターで置き換えられる製作工程はあります。しかし、患者様の口の中に入れて、最適なフィットと快適さを提供する入れ歯を作るには、研磨や調整など、まだまだ歯科技工士の匠の技が必要です。
当社は3Dスキャナーや3Dプリンターといったデジタル製品の販売を進めていますが、3Dプリンターでの製作に関連するアナログの商材にも力を入れています。トータルのワークフローを支えられる製品群を、できるだけ揃えるようにしています。

YouTubeを始めたのは10年ほど前で、まだYouTubeが普及し始める前のことでした。
入社当時は営業を担当しており、全国のディーラーを訪問しては製品を紹介していました。しかし、当社の規模では、定期的な訪問に限界を感じていました。
その頃、YouTuberが話題になり始め、「これからは動画の時代だ」と言われていたこともあり、まずは社内向けの製品説明動画を作っていました。そのうち「これをそのままユーザーに見せればよいのではないか」と思い、名南YouTubeチャンネルを開設しました。
当時は迷惑系YouTuberなどが社会問題になっていたこともあり、顔出しで動画を公開することを心配する声もありました。しかし、今となってはやっていてよかったと思います。
特にコロナ期は訪問営業がかなり制限されていたため、動画で商品説明ができることは大きなメリットでした。継続は力なりで、今では当社の強力なマーケティングツールとなっています。
歯科業界は確かにBtoBですが、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士、歯科ディーラーの営業マンなど、当社のSNSがターゲットとする層は20万人以上を数えられます。そのため、BtoCの要素もあると思っています。
実際に動画を見て製品の購入を決めてくださることも多く、当社ではYouTubeを「もう一人の営業マン」と捉えています。
情報発信では、製品の概要とメリットを端的にわかりやすく伝えることに加え、プラスαの面白さを意識しています。

好奇心を大切にし、いろいろなことに挑戦することです。
また、AIやSNSの時代にはおろそかになりがちですが、改めて、読書や映画鑑賞など「物語」を楽しむ時間を作ることも大切だとお伝えしたいです。視野を広げ、様々な価値観があることを理解することが大事です。
特に令和の時代は、ただ仕事ができるだけでなく、他の社員とのコミュニケーションや協調がますます重要になると思います。
歯科業界は本当に面白い業界です。デジタル化やAIなど、イノベーションが常に起こっており、歯科医療に貢献できるという手応えややりがいもあります。
日本の歯科医療製品は、まだまだ多くの部分を海外製品に支えられており、「世界とつながっている」ことも感じられる業界です。

企業名 : 名南歯科貿易株式会社
代表者 : 新美 洋平
所在地 : 愛知県名古屋市中川区舟戸町2-26
設立 : 1981年1月
従業員数: 26名
事業内容: 歯科医療器材の輸出入卸販売