【株式会社 Countel】
小田 貴紀社長インタビュー
2007年新卒にて、みずほインベスターズ証券(現みずほ証券)へ入社。その後、2014年に横浜銀行へ転職。
2021年横浜国立大学大学院 国際社会科学府 経営学専攻を修了。2023年に退職ののち2024年株式会社Countel代表者取締役就任
大学卒業後、みずほ証券、横浜銀行と金融業界でキャリアを歩んできました。転機となったのは、コロナ禍前に横浜国立大学大学院でMBAを取得したことです。「自分で事業を立ち上げたい」という想いが芽生えたのと同時期に、私自身も子育てに直面しました。
その際、リアルに直面したのが「我が子にとっての最適な育て方が分からない」という悩みです。子育ては十人十色であり、巷にあふれるノウハウが自分の子どもに合うかどうかを判断する材料がどこにもありませんでした。そもそも子育ての知識や経験は「できて当たり前」とされ、昔から非常に属人化しています。そのため、貴重な実践知が社会で共有されていないことに問題意識を感じました。
「自分の子どもと同じ特徴を持つ子どもを育てた先輩たちの『実践知』が集約され、最適な方法が分かれば、孤独や不安は軽減するはず」と思い、サービス実現に向けて事業を行う決意をしました。
自分が理想とする事業を模索していた際、もともと考えていた構想に非常に近い理念を持ち、事業承継を希望していた「Countel」と出会い、引き継ぐことを決めました。Countelは、専門家や先輩パパママに直接相談ができるコミュニティ基盤を持っており、まずはこの既存サービスの維持・改良からスタートしました。
しかし、現状のサービスだけではマネタイズが難しく、私が理想としていた「子どもの特徴に応じた実践知を届けるシステム」への大幅なアップデートを自己資金だけで進めることには限界がありました。そこで、一歩を踏み出すために「ものづくり補助金」へ申請したところ、無事に採択。これを大きな原動力として、今年9月のリリースに向けて現在開発を進めている新サービス「KASUGAI」の誕生へと繋がっていきました。

サービスを運営し、リサーチを重ねる中で、産休や育休を機にキャリアの両立に悩み、退職を検討してしまう人が非常に多いという現実に突き当たりました。また、既存サービス「AnS」を通じ、女性だけでなく、男性も同じように育児で深く悩んでいることが分かりました。
今後、社会的に「男性も育休を取りやすい環境」の整備は間違いなく進んでいきます。しかし、いざ育児が始まった際のメンタルケアや、「夫婦間・家族間における子育て方針の認識のズレ」から生じるストレスをカバーできるサービスが圧倒的に不足しています。
この孤独や家族間のすれ違いによるメンタル低下が、最終的に離職を余儀なくされる──この悪循環を断ち切ることこそが、今社会に求められている課題だと考えています。

私たちの強みは、個人向けの相談コミュニティのノウハウを活かし、企業向け(BtoB)の離職防止・メンタルケアに踏み込んだ点にあります。9月リリース予定の「KASUGAI」では、従業員の産休・育休中から復職後に至るまで、メンタル指数を継続的に計測・可視化します。
日々のサービスとしては、同じ境遇の人とのコミュニティ形成や、リアルイベントでのリフレッシュ機会を日常的に提供し、さらに「テナント制」によって夫婦や祖父母の間での情報・認識のズレを解消する仕組みを備えています。
その上で、最大の特徴は「メンタル指数の低下を検知した際のアプローチ」です。指数低下時には、企業側から育休取得者に対して適切なフォローを行い、心理的な接点を維持できるようにします。同時に、サービス内の専門家への相談利用を促すことで、復職までのメンタルケアを的確に行い、子育てに起因する離職を未然に防ぎます。

子育てにおいて、AIは「属人化していた実践知を、必要とする人に的確に繋ぐ架け橋」になると考えています。
「KASUGAI」では、まず保護者が子どもの行動や性格的特徴に関する設問に答えることで、子どもの「タイプ分類」を行います。そして、そのタイプの子どもを実際に育てた経験のある先輩たちのリアルな『実践知』を学習させたAIが、それぞれの保護者の方に適した知見やアドバイスを届ける仕組みを開発しています。
さらに、利用者のフィードバックや追加のデータ収集を通じて、このAIを継続的にアップデートさせていきます。AIの力を借りることで、「うちの子に合う方法が分からない」という親の不安に対して、これまでにない確度の高い実践知を提示できるようになると期待しています。


子育てを経験した人が、そこで得た知識や経験を、次の世代やこれから子育てを希望する人たちへ自然とバトンタッチしていける「循環型の社会」を作りたいです。
よく「子育てによるキャリアの断絶」という言葉が使われますが、私はそれを変えたい。子育てを通じて培ったマルチタスク能力やレジリエンス、そして実践知そのものが、「一つの価値(スキル)」として社会や企業から正当に評価される世の中を目指しています。Countelを、その新しい価値観の基盤となる企業へと成長させていきたいです。
金融業界から転身し、いざ自分の会社を運営してみると、最低限の知識はあったつもりでも、現実は思い通りにいかないことばかりで試行錯誤の連続です。しかしだからこそ、今まさに悩みながら育児や仕事と格闘している方々や、従業員のエンゲージメントに悩む企業様の気持ちに、誰よりも寄り添えるサービスが作れると信じています。
新サービスの「KASUGAI」という名前には、ことわざの「子は鎹(かすがい)」の通り、子どもを中心として、家族、企業、そして地域社会が優しく繋がっていってほしいというイメージを込めています。
子育てに関する悩みを少しでも軽減し、二度と戻らない「今しかない子どもとの時間」を、どうか有意義で愛おしいものにしてほしい。私たちはその架け橋となれるよう、全力を尽くしていきます。

企業名 : 株式会社 Countel
代表者 : 代表取締役 鈴木 仁美 代表取締役 小田 貴紀
設立 : 2021年(令和3年)4月6日
事業内容: メンタルヘルスケアサービス
URL : https://www.countel.net/