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【株式会社MiL】
杉岡 侑也社長インタビュー

【株式会社MiL】<br>杉岡 侑也社長インタビュー

杉岡侑也 略歴 1991年、大阪府生まれ。高校卒業後、約5年のフリーター期間を経て23歳でIT系企業に入社。2016年、大学生向けキャリア支援事業・株式会社Beyond Cafeを創業。2018年、非大卒者のキャリア支援を行う株式会社ZERO TALENTを創業。同年、妻とシェフの3名でフード×ヘルスケアスタートアップ株式会社MiLを共同創業。乳幼児向けフードブランド「the kindest(カインデスト)」を展開し、累計700万食以上を販売。代表取締役社長。

社長のこれまでのご経歴と、起業に至るまでの転機について教えてください。

23歳のとき、東京のIT企業に拾っていただきました。そこから24歳で1社目、27歳で2社目を創業して、両社ともイグジットすることができました。

転機になったのは、電通の過労死事件を深く知ったときです。あの出来事が、自分のなかで人生の瞬間、瞬間を最大化するよりも、もっと長いスパンで捉えて、人生を共に過ごすような距離感を持つサービスで社会に貢献したい、と思うようになりました。そこからヘルスケア、ひいてはWell-Beingというテーマに出会いました。

2018年、妻と、一人のシェフと、3人でMiLを創業しました。

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現在のお仕事を志したきっかけを教えてください。

きっかけは、妻の何気ない一言でした。「子どもが生まれたら、ライフスタイルって変わるよね」という言葉です。

食のマーケットは、世界で約680兆円ともいわれる、本当に大きな領域です。でも当時、大企業や歴史のあるサービスは「出生数が激減している、斜陽産業だ」という空気のなかで撤退が続いていた。実際はそうではないのです。

テクノロジーと人々の暮らしの変化で、マーケットのニーズはまさに動き出そうとしているタイミングでした。だから、「子どもが生まれた瞬間からの、子育て家族の食」ここからいこう、と決めました。20年後、50年後の社員が誇れる創業事業でありたい、という気持ちもありました。

妻は保育士で、共同創業者のシェフは三つ星レストランで腕をふるってきた人物です。専門家でもない自分が真ん中に立って、「子育て家族の毎日をもっとよくできないか」と本気で考え始めた。それが、乳幼児向けフードブランド「the kindest(カインデスト)」の始まりです。

 

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理念やビジョンに込めた想いと、具体的な取り組み内容を教えてください。

the kindestのブランドパーパスは「Taste the Life」です。

「食べる」ことは、人生で最も日常的で、身体的で、継続的な体験です。そして幼少期は、人生のなかで味覚(知覚)が最も敏感で、育つ時期でもあります。赤ちゃんが初めての酸味や苦みを感じて吐き出すことさえも、私たちは「感受性が育っている」と捉えています。

その黄金期に、多様な食体験を積み重ねること。それが、一口一口から「人生を味わう力」が育っていくと考えています。

そのため、私たちが最もこだわって掲げているコンセプトは「日々の一口から、人生を味わう力へ」。並外れたこだわりは「味覚への多様で複雑な刺激と、その味覚を守ること」としています。

具体的な取り組みについては、3点あります。

 

1つ目は、一流シェフ・専門家との共同設計と、今までベビー産業にいなかった技術のあるメーカーや生産者を巻き込みんで、ブランドを作ること。料理家や小児科医、管理栄養士の知見を組み合わせ、月齢・年齢ごとに味・食感・栄養を設計しています。「何が入っていないか」ではなく、「何を体験できるか」を基準にしています。

2つ目は、お客様と長期的な関係づくりです。習い事のように、食を長期的な取り組みとして位置づけてほしい。そのための継続的なコミュニケーションや商品設計を続けています。

3つ目は、なぜ食べるか、を伝え続けることです。離乳食を「時短できる便利なもの」ではなく、「感受性を育てるもの」として届ける。この価値観を社会に広げることが、事業と同じくらい大切な仕事だと思っています。

 

10年後、the kindestで育った子どもたちが自分の「好き」に出会えている世界を、私は本気でつくりたい。

「儲かるか」ではなく、「誇れるか」――この基準を一番にする、と決めています。

ビジョンを掲げられた背景には、どのような原体験や問題意識があったのでしょうか。

結婚式の場面をよく思い出します。初めてケーキに入刀して、一口食べる瞬間。おじいちゃんもおばあちゃんも、みんながその瞬間を見ています。人生の中で最も幸せな瞬間の一つに、「食べる」という行為が深く結びついている。そのタイミングに、一番記憶に残るブランドになりたい、という想いがずっとありました。

電通の過労死事件を知ったことも大きな出来事でした。あの出来事を深く知って、「人生の瞬間を最大化する」よりも、「人生を長いスパンで豊かにする」ことに向き合いたいと思うようになった。Well-Beingというテーマと出会い、食という最も日常的な領域に行き着きました。

現在の日本社会において、事業領域の最大の課題は何だとお考えですか。

無添加、オーガニック、国産。これらは今や当たり前の基準になりました。差別化の軸が「何が入っていないか」になっている。でも、ニーズはすでに「子どもの感性が育まれているか」に移っています。そこにまっすぐチャレンジできる企業が少ないことが課題だと思っています。

もう一つは産業構造の問題です。ベビー・キッズの領域に貢献したいと思っている企業は、実はたくさんいます。素晴らしい素材を持つ生産者、革新的な食品技術を持つメーカー、子どもの栄養に向き合う専門家たち。でも参入できていない。「赤ちゃんに届ける」というだけで、信頼の基準が跳ね上がるからです。月齢ごとの安全設計、専門家の監修体制、親が安心して手渡せるブランドの信頼。これを一から構築するコストと時間は、多くの企業にとって現実的ではない。結果として、ベビー市場は「既存の大手が守る市場」になりやすく、新しい価値が入ってきにくい構造になっています。

私たちはそこを変えたいと思っています。

サービスの独自性や差別化ポイントについて教えてください。

端的に言うと、「店舗を持たない無印良品」みたいなポジションです。無印良品がノートもペンもベッドも、様々なサプライヤーと物づくりをしながら「感じのいい暮らし」をお約束しているように、私たちも自社で製造は持たず、専門家やメーカーと連携しながらブランドとしての品質・世界観を担保しています。

独自性は3点あります。

 

1つ目は、「食べやすさ」より「体験の多様性」。甘く親しみやすい味に寄せることをしない。苦み、酸味、複雑な風味――幼少期にしか作れない「味の記憶」を、意図的に設計しています。

2つ目は、一流シェフ×専門家チームによる共同設計。おいしさの追求と発達への配慮を、同時に妥協しない。どちらか一方に振らず両立しようとしている企業は、ほとんどないと思います。

3つ目は、「一口」ではなく「習慣」として設計していること。食体験は継続してはじめて意味を持ちます。習い事のように、長期的な取り組みとして食を位置づけてほしい――この思想が商品にもコミュニケーションにも一貫しています。

 

また、直接消費者と繋がりながら物づくりをしていることも大きな強みです。従来の食品メーカーは、問屋・小売を介することで消費者の声がほとんど届かない構造になっている。私たちは毎日、お客様からリアルな声が入ってくる。それが商品開発に直結しています。鶏のピューレが大ヒットしたのも、そうした声の蓄積から生まれたものです。

事業を通じて、日本の課題にどのように貢献していきたいとお考えですか。

日本の食品産業には、世界に誇れる技術シーズが眠っていると感じています。発酵技術、素材の知見、栄養設計のノウハウ――大企業にも、地方の中小にも、「外に出せていない力」がたくさんある。

私たちが貢献できることは、その「最後の一歩」を一緒に踏み出すことだと思っています。月齢設計のノウハウ、専門家とのネットワーク、親からの信頼――これをプラットフォームとして開いていきたい。「この技術を、赤ちゃんに届けたい」と思っている企業や生産者がいれば、ぜひ一緒にやりましょう、と本気で言いたいんです。

子ども関連のニュースはネガティブなものが多すぎます。でも、アジア40億人はまだまだベビーブームです。出生数が減っているのは事実でも、市場が縮んでいるわけじゃない。日本の技術と食文化をアジアに届けることができれば、これは日本が誇れる大きな産業になれる。そういう未来を、本気で作りたいと思っています。

事業を運営される上で大切にされていることを教えてください。

一番大切にしているのは、「業界の当たり前を、ひたすらに疑うこと」です。

たとえば「地産地消」。食の文脈で語られる美しい言葉ですが、私たちがそこに力を入れるべきかというと、そうは思っていない。地消――その地域の中で消費するということは、そのエリアの人口とGDPに依存します。日本が少子高齢化で縮んでいく中で、地域内に売り先を求め続けることには限界がある。私たちが向き合うべきは「地産外消」――日本で丁寧につくり、世界に届けることだと考えています。

「こうするものだ」を一度疑う。そこから、本当の戦略が始まると信じています。

経営者として「これだけは譲れない」と考えている価値観があれば教えてください。

「儲かるか」ではなく、「誇れるか」――この基準を一番にする、と決めています。

10年後、the kindestで育った子どもたちが自分の「好き」に出会えている世界を、本気でつくりたい。そのために何をすべきかを考えたとき、目先の利益よりも、ブランドとして何を約束できるか、が常に問いの中心にあります。

これまでに直面された困難や課題、それをどのように乗り越えてこられたかを教えてください。

正直に言うと、素人が食の製造小売をやるのは、本当に大変な領域です。

創業からブランドをスタートして6~7年、本当にさまざまなお客様からご指導いただきました。一般の消費者だけじゃなく、流通・小売の皆さんにも大変ご指導いただいた時間でした。
組織はそんなに急に出来上がるものではなく、自分たちの知識も経験も、やはりステップ・バイ・ステップで積み重ねてきました。売って終わりではなく、目の前のお客様の期待をどうやって超えていくか、を常に問い続けてきた結果が今につながっていると思っています。

どのような方にサービスを届けたいとお考えですか。

離乳食を始める5ヶ月前後のお母さん・お父さんに届けたいと思っています。そもそも何から始めればいいか分からない、何分あげればいいかすら分からない――そのスタート地点から一緒に伴走したい

安全なもの・美味しいものを提供するのはもちろんですが、それ以上に「育児を一緒に考えてくれるブランド」として選んでもらえることを目指しています。自分も子どもが3人いて、子育てが大変なのはよく分かります。だからこそ、そういう人たちが報われ、歓迎されている空気を届けたい。

 

株式会社MiLイメージ1

今後の目標やビジョンについて教えてください。

まずはアジアです。日本に留まらず、アジアのベビーブームに、ジャパニーズクオリティーの、日本基準のものをしっかりと届けていきたいと考えています。

子どもの発育はどの国のどの子にとっても大事なことで、子どもがたくさん生まれてきた日本には蓄積されたナレッジがあります。それをコンテンツとして輸出できるようになれば、日本がアジアに貢献できる大きな産業になります。5年・10年かけてそこをやり切りたいと思います。

国内でも、より多くのメーカーや生産者をベビーのマーケットに引き込んでいきたいと考えています。誰かが取り組むべきテーマであり、しっかりと収益を上げながら、みんなが幸せになれる産業にしていきたいと思っています。

最後に、新たな挑戦を考えている方へメッセージをお願いします。

今、食品メーカーや小売り企業で働いている方に、特にお声かけしたいです。日々の仕事に誇りを持ちながらも、「このままでいいのか」と思う瞬間が、きっとあると思います。

MiLは、テーマが多い会社です。子ども、食、教育、感性、地域、グローバル。離乳食というプロダクトを入り口に、幼児教育の文脈にも踏み込み、地域の生産者ともつながり、いずれ世界に届けたいとも思っています。一つの会社でこれだけ多様な接点を持てる場所は、なかなかないと思います。

チームはミニマルです。だから一人ひとりの仕事が、直接ブランドに宿る。大きな組織で「誰かがやっていること」ではなく、「自分たちがつくったもの」が子どもの食卓に届く――そういう実感がある場所です。

創業150年の老舗の方々と一緒に新商品を作る、なんて経験、普通の会社ではなかなかできません。若いうちに、10年後も誇れるテーマで、本気の仲間と仕事をする。それって、素敵だと思いませんか。ぜひ、一度お話ししましょう。

株式会社MiLロゴ

企業概要

企業名 : 株式会社MiL

代表者 : 杉岡 侑也

所在地 : 東京都港区南青山4-13-9 クレセントヒルズ3F

設立  : 2018年1月11日

従業員数: 42名(アルバイト・派遣含む)

事業内容: 赤ちゃんからの「食育」をサポートするフードブランド「the kindest(カインデスト)」の企画・製造・販売。子育て家族向けメディア「the kindest magazine」。離乳食期のトータルサポートプログラム「食育プログラム」の運営。

URL  : https://mil-inc.com/

 

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