【大和財託株式会社】
藤原正明社長インタビュー
私のキャリア形成において大きな影響を与えたのは、サラリーマン時代に勤めた大手企業と中小企業、両方での経験です。老舗メーカーや大手不動産会社で働く中で、組織運営の仕組みや内部統制の重要性を学びました。大規模な組織での経験は、現在の経営においても、仕組みづくりやルールの徹底がいかに企業の成長や安定に寄与するかを実感する原点となっています。
一方で、中小企業での営業経験では、現場で代理店社長と在庫調整をしながら缶コーヒーを飲むような、泥臭い現場での人間関係や信頼構築の本質を体感しました。この経験を通じて、「人財は能力よりも人柄」「顧客を選ぶことが企業の持続性を決める」という考え方を強く持つようになり、創業期から一貫して重視しています。
私が創業を決意したきっかけは、不動産業界に対する強い問題意識からでした。先述した大企業で分譲マンション開発や不動産業務に携わった後、個人で不動産投資をはじめ、業界全体に「顧客軽視の姿勢」が根強く残っていること、そして購入後の管理・運営まで一貫してサポートする会社がほとんど存在しない現実に疑問を抱きました。「顧客が安心できる仕組みを提供したい」という思いが、私の中で次第に強くなり、これが起業の原点となりました。
また、挑戦的な中小企業での経験を積み、さらに安定した大企業でキャリアを重ねる中で「中途入社では経営層に上がるのは難しい」という現実に直面し、自分の将来像に違和感を覚えました。安定と挑戦の両方を経験した結果、「自分でやるしかない」と独立を決意したのです。
そして2013年7月、大阪駅前の15坪のオフィスで、資金もコネもない状態から一人でスタートしました。当初は「収益不動産を活用した資産運用コンサルティング」を事業の柱とし、自身がの不動産投資で経験した業界の不透明さを痛感したことを背景に、「購入・融資・賃貸管理までワンストップで提供する会社があれば便利だ」という発想で事業モデルを構築しました。
「資産価値共創業」は、当社が創業10周年を迎えた2023年に誕生しました。創業以来、収益不動産や土地活用、賃貸管理を中心に事業を展開してきましたが、10年の間に自社設計・自社施工による建築、新築(戸建・マンション)、リノベーション、ホテル運営などへと事業領域が大きく広がりました。その結果、従来の業態規定では会社の本質を十分に表現できなくなり、企業リブランディングのタイミングで「ただの不動産屋ではなくなった我々は何屋なのか」を再定義する必要性を強く感じました。
創業時から「圧倒的顧客ファースト」を掲げ、顧客に経済的メリットを提供することを事業の根幹としてきましたが、近年は顧客だけでなく、取引先や社員、社会全体と価値を共創する姿勢を事業定義へと昇華させました。これが「資産価値共創業」という新たな事業コンセプトの誕生につながっています。
さらに、リブランディングの際には、当社独自の成長メカニズムである「潤環シナジー戦略」を事業の中核に据えました。この戦略は、顧客・取引先・社員の三者が相互に作用し合いながら総和利益を拡大し、潤いを循環させ続けることを目的としています。顧客には最適なプランを提供し、透明性ある説明で納得感を高めることで信頼を獲得し、再投資や新規顧客獲得につなげます。取引先との協働により調達条件や業務効率を改善し、社員には公正な評価と配分を行うことで組織全体のパフォーマンスを最大化します。こうした循環により、顧客・取引先・自社の利益を同時に高め、持続的成長を実現することが「潤環シナジー戦略」の本質です。
そして、より良い利回りや長期的な資産価値を実現するために、不動産と建築を一体化した提供体制を構築。設計や施工管理を社内で担うことで、モノづくりと金融的視点の両輪で資産価値を顧客と共に設計・運用する事業構造へと進化しました。「資産価値共創業」は、当社の業態そのものを規定する言葉となりました。
事業内容は、不動産投資、土地活用、賃貸管理、建築、リノベーション、ホテル運営など多岐にわたります。投資プランの設計から物件の仕入れ、融資、賃貸管理、出口戦略までワンストップで提供し、個人・法人の資産形成や節税を支援しています。
土地活用では、土地診断や需要分析を踏まえた最適な活用方法を提案し、アパート・マンション建築だけでなく相続対策や他用途への転換も総合的にサポート。賃貸管理事業では、約10,000戸の管理実績と99%を超える高い入居率を誇り、きめ細やかな管理体制を構築しています。建築部門では、木造・鉄骨造・RC造など幅広い工法に対応し、自社設計・施工管理による低コスト・高品質な建築供給を実現。
当社の強みは、仕入れから設計・建築・販売・管理・売却までを自社で一貫して担う垂直統合型ビジネスモデルにあります。これにより中間マージンを排除し、高品質・低コスト・高利回りを実現。自社ブランド物件の展開や、圧倒的顧客ファーストの姿勢、高い管理品質、情報発信力なども大きな特徴です。顧客の利益を最優先に考え、長期的な信頼関係を重視した経営を行っています。
創業当初は収益不動産を活用した資産運用コンサルティングが中心でしたが、外部の施工会社に依存していたことで原価が高騰し、顧客に高利回りの物件を提供できないという課題がありました。そこで、設計・施工を自社で一貫して担う体制をゼロから構築し、M&Aで建設会社を買う方法ではなく自社文化に合った仕組みを作るために内製化を選択しました。今振り返ってみても、無謀な挑戦だったと思います。不動産業と建設業は、一見似ているようでいて、実は全く異なる業界です。不動産業の大胆な発想やスピード感は、建設業においては時に致命的なリスクにつながることもあります。そのため、両者の違いをしっかりと理解し、慎重かつ着実な体制づくりが不可欠です。
幸い、私は理系の技術屋として機械工学を学んできた経験があり、現場の論理や技術的な視点を持ち合わせています。加えて、中途採用で迎えた建築のプロフェッショナルたちの意見を積極的に取り入れながら、設計・施工の体制を毎期コツコツと築き上げてきました。こうした地道な積み重ねが、当社のワンストップサービスの品質と信頼性を支える大きな強みとなっています。
今後も技術力と現場力を掛け合わせることで、RC造・木造いずれの案件も拡大しつつ、事業エリアの拡充や外部からの受注増加を図るとともに、ホテルやビルの建設にも積極的にチャレンジしていく方針です。都市部や観光地でのホテル開発・運営は、既存事業とのシナジーを生み出し、長期的な収益モデルの構築にもつながります。これらの取り組みにより、当社は今後もお客様の多様なニーズに応え、より高い価値を提供し、持続的な成長を実現してまいります。

不動産投資で最も大切なポイントは何か――私の長年の経験から申し上げると、「正しい指標で判断し、情報格差を埋める努力を怠らないこと」だと考えています。不動産業界は売り手と買い手の間に情報の非対称性があり、相場やリスク情報が十分に開示されないケースも多く、初心者の方は「表面利回り」や営業トークに惑わされ、思わぬ失敗をしてしまうことがあります。私は「情報格差を放置したままの投資はギャンブルと同じ」だと常々警鐘を鳴らしています。
大切なのは、表面利回りだけでなく、NOI(純営業収益)、FCR(総収益率)、IRR(内部収益率)、K(ローン定数)、イールドギャップといった実質的な収益を示す指標で判断することです。これらを活用することで、数字のトリックに惑わされず、長期的な価値を見極めることができます。
また、信頼できる情報源を活用し、国土交通省の取引価格情報や専門書籍、セミナー、YouTubeなどで知識をアップデートすることも重要です。テクノロジーを活用して過去の取引履歴やエリア相場を把握し、契約書や重要事項説明も自分でしっかり確認する姿勢が不可欠です。私自身も、SNS等で情報をオープンにすることで顧客の判断力を高めることを理念としています。不動産投資は「情報格差がある不透明な世界」で行われます。だからこそ、知識と戦略を持ち、再現性のある資産形成を目指していただきたいと考えています。当社は、業界の情報格差を是正し、正しい投資判断を支援する仕組みを強化することで、透明性と信頼性を追求していきます。
当社では、社員の成長と組織文化を支えるために、評価制度として「役割等級制度(ミッショングレード制)」を導入しています。これは、年齢や勤続年数に関係なく、役割の難易度と成果に応じて昇格できる透明性の高い仕組みを構築する制度です。。半期ごとの評価では、成果だけでなく行動指針も重視し、突出した成果を出した社員には早期昇進の機会を与える「出る杭は引っ張る」文化を醸成しています。
さらに、社員が挑戦できる環境を整えるため、新規事業や重要プロジェクトへの抜擢、マネジメントポジションへの早期登用など、キャリアアップの機会を豊富に提供しています。これにより、社員は自らの力を試し、成長を加速させることができます。
加えて、オープンなコミュニケーションを重視し、二週間に一度の目標面談を通じて、成果や進捗を見える化し、上長と部下が二人三脚で、あるいはチーム一丸となって目標数値を追いかける仕組みを導入しています。この面談では、目標達成に向けた課題や改善策を共有し、スピード感のあるPDCAを実現しています。
これらの制度と文化により、社員一人ひとりが自分らしく働きながら成長できる環境を整え、企業全体の成長スピードを加速させています。
当社は2040年までに売上1兆円、経常利益1,000億円という明確な数値目標を掲げています。これは単なる理想ではなく、創業以来12年連続で増収増益を続けてきた実績を踏まえた、現実的かつ挑戦的な指針です。まずは2029年までに売上1,000億円を達成し、次の十年の大きな跳躍台としたいと考えています。
ビジョンの核となるのは、「資産価値共創業」のさらなる“進化と深化”です。顧客・取引先・社員とともに価値を創り続けるという理念を軸に、単なる不動産会社にとどまらず、日本を代表する企業へと進化していきます。不動産や建築を通じて、顧客の資産形成だけでなく、地域社会や環境にも貢献する事業を展開し、社会に潤いをもたらす存在を目指します。
既存事業のスケール化や新規事業への挑戦、ブランド戦略の強化、国内外への展開を通じて、「顧客・取引先・社員・社会の総和利益を“潤環”させる資産価値共創業」として、業界の常識を変え、社員が誇りを持てる組織を実現していきます。


企業名 : 大和財託株式会社
代表者 : 藤原 正明
所在地 : 東京都渋谷区渋谷
設立 : 2013年7月
事業内容
不動産・建築領域等を活用した資産価値共創事業
・資産形成に関するプランニング及びコンサルティング
・不動産・金融に関する市場調査及び情報提供
・不動産の管理・賃貸及び売買
・プロパティマネジメント業務及びアセットマネジメント業務
・宅地造成等不動産事業用地の開発
・建築物の設計及び工事監理
・建築工事業・塗装工事業・電気工事業・管工事業その他建築業
・建物のリフォーム・リノベーション
・ホテル等商業施設及び介護・障がい者福祉施設の企画・運営・管理