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【株式会社ネットプロテクションズ】
柴田 紳社長インタビュー

【株式会社ネットプロテクションズ】<br>柴田 紳社長インタビュー

今回は2025年11月に著書『管理職を全廃しました』を刊行された、株式会社ネットプロテクションズ代表取締役社長の柴田紳氏にお話を伺いました。組織運営のこだわりや、組織づくりに悩む経営者・管理職の方へのメッセージまで、率直にお聞きしています。

株式会社ネットプロテクションズイメージ1

「なぜ社員は自走しないのか」という問いは、どのような原体験から生まれたのでしょうか。商社時代や創業初期のご経験も含めてお聞かせください。

この問いの原点は、創業以前の商社時代と、ネットプロテクションズ創業初期の双方にあります。

商社時代、能力も意欲も高い人ほど、「上司の承認」や「前例」に意識を取られ、本来の力を発揮しきれていない場面を数多く見てきました。そのときに感じたのは、人が自走しないのは個人の問題ではなく、そう振る舞わざるを得ない組織構造があるのではないか、という違和感でした。

創業後も、事業が拡大するにつれて同じ構造が現れました。社員は真面目で優秀なのに、判断を上に委ね、正解を探し、動きが遅くなる。

そこで初めて、「社員をどう動かすか」ではなく、「社員が自然と動き出す構造になっているか」を問い直す必要があると強く感じるようになりました。「なぜ社員は自走しないのか?」という問いは、人を疑う問いではなく、組織の前提を疑う問いとして生まれたものです。

ネットプロテクションズの理念を教えてください。

ネットプロテクションズの理念は、ミッション・ビジョン・バリューに加え、それを日々の行動や組織運営に落とし込む行動規範・組織規範まで含めた、一貫した思想として設計されています。

ミッションは「つぎのアタリマエをつくる」ことです。
ここには二つの意味を込めています。ひとつは、事業として社会の“次の当たり前”となるサービスを連続的に生み出していくという想い。もうひとつは、その価値を生み出し続ける土壌として、組織そのものも“次の当たり前”となる在り方へ進化させていくことです。
私たちは、人は管理される存在ではなく、価値を生み出す主体であると考えています。社員が自走しないのは個人の問題ではなく、そう振る舞わせてしまう構造にあるのではないか――この問題意識が理念設計の原点です。

ビジョンは、私たちが大切にする組織の価値観を示したものです。
単なる将来像ではなく、どのような前提で意思決定するのかという価値基準そのものを明確にしている点が、当社のMVVの特徴です。

バリューは、社員一人ひとりの行動指針であり、日々の判断に迷ったときに立ち返る共通言語です。
「目的から考える」「事実と向き合う」「自分ごととして引き受ける」といった価値観を、評価のためではなく意思決定の軸として位置づけています。

また、行動規範と組織規範を分けている点も特徴です。
行動規範は個人の判断基準、組織規範は役職に依存せず役割を起点に意思決定するという組織の前提を示しています。

独自の人事・運営システム「Natura(ナチュラ)」は、ティール型組織を機能させる中核だと思いますが、制度設計において最もこだわったポイントを教えてください。

Naturaで最もこだわったのは、単なる評価制度にしないという点です。
人を序列化する仕組みではなく、社員一人ひとりの成長を支援するための仕組みにしたいと考えました。

等級や役職ではなく、「どんな価値を、どの役割で、どれだけ生み出しているか」を市場や顧客、チームとの関係性の中で捉え、そのうえで成長の方向性を具体的に示すことを重視しています。

そのため、各コンピテンシーは評価項目ではなく、成長のガイドラインとして設計しました。自分はいまどの段階にいて、次に何を伸ばすべきかが見えることで、主体的に学び、挑戦できる状態をつくることを狙っています。

具体的には、

・役職ではなく「役割」を起点にする
・上下関係ではなく、価値提供の関係性で捉える
・評価をブラックボックス化せず、情報をできるだけ開く

といった設計思想を徹底しています。

制度で人を縛るのではなく、人が自然に判断し、挑戦し、成長できる環境を整えること。それがNaturaの中核にある考え方です。

ティール型組織は、どのような企業・フェーズにこそ向いている組織モデルだとお考えですか。

ティール型組織は、基本的には業種や規模を問わず、多くの企業で取り入れることが可能な組織モデルだと考えています。そのうえで大切なのは、企業ごとの状況やフェーズに応じて、どのように設計し、どのようなステップで移行していくかという点です。

特に効果を発揮しやすいのは、変化が激しく、現場での判断が事業価値を左右する環境です。顧客との距離が近く、正解が一つに定まらない中で、試行錯誤や学習そのものが競争力になる事業では、意思決定を現場に委ねる分散型の仕組みが強く機能します。

一方で、導入にあたっては事前に整えておくべき土台もあります。たとえば、経営の目的や価値観が十分に言語化されていない場合、判断を現場に委ねても軸が共有されにくくなります。また、失敗を許容しない文化のままでは、主体的な挑戦は生まれにくいです。さらに、管理職をなくすこと自体が目的化してしまうと、本来目指すべき価値創出から離れてしまいます。

ティール型組織は、制度や手法をそのまま当てはめるものではなく、人を信じ、判断を委ねるという考え方を土台に、自社の状況に合わせて段階的に設計していく組織モデルです。そのプロセスを丁寧に踏むことで、どの企業でも機能させていくことができると考えています。

株式会社ネットプロテクションズイメージ2

書籍への推薦文

組織づくりに悩む経営者・管理職の方に向けて、書籍『管理職を全廃しました』を通じて、最も伝えたかったメッセージをお聞かせください。

この本を通じて最も伝えたかったのは、「管理職をなくすこと」そのものではありません。本当に伝えたかったのは、人を信じる前提に立って組織を設計し直すと、組織はここまで変わり得るという、ネットプロテクションズでの実体験です。

各社がどのように管理職を扱うかはそれぞれ悩みながら決めていくことだと思います。私自身も試行錯誤の連続でした。その中で、社員が自走しづらいと感じたときに、個人だけでなく、行動を生み出している組織の在り方に目を向けるようになりました。この本が、同じように組織づくりに悩む方と一緒に考える材料になれば嬉しいです。

また本書は、経営者だけに向けたものではありません。ティール組織の「理論書」というよりも、現場で実践できる組織づくりの実践書として、チームリーダーや若手社員を含め、立場に関わらず多くの人に読んでもらいたいと考えています。一人ひとりの行動や判断が少しずつ変わることで、組織は確実に変わっていく。その可能性を感じてもらえたら嬉しいです。

 

株式会社ネットプロテクションズロゴ

企業概要

企業名 : 株式会社ネットプロテクションズ

代表者 : 柴田 紳

所在地 : 東京都千代田区麹町4丁目2-6 住友不動産麹町ファーストビル 5階

設立  : 2000年1月

従業員数: 320名

事業内容: 商品を受け取った後に支払える後払い(BNPL)決済サービス、および企業間決済代行サービスの提供

URL  : https://corp.netprotections.com/

『管理職を全廃しました』
・著:柴田 紳(株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役社長)
・発売:ダイヤモンド社/2025年11月12日発売

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