【株式会社Pictors & Company】
水口史椰社長インタビュー
ライフスタイルの要素である衣食住のうち、気分や都合で簡単に決められない「住」を柔軟に選択できるような事業を複数展開しています。
私たちの生活基盤は不動産によって支えられていますが、逆に不動産の有り様に私たちの生活が縛られているとも言えます。通常、自分が定めた拠点を中心に生活圏を構築していきますが、本当はその時の気分やニーズによって、選びたい場所が変わることも多いはずです。そんな時は主に「宿泊」という手段で宿泊施設などを利用しますが、自分のお気に入りの場所が出来た時、宿泊以外にも定期的に足を運びやすい形があればライフスタイルがより豊かになるのではないでしょうか。
そのように、個人と不動産の関係性を「購買」「賃貸」「宿泊」以外に柔軟に持てることを目指した事業を展開しています。
現在取り組んでいるのは、リゾート会員権をオンライン上で売買できる場所を提供する「Neut」や、リモートワークの普及によって減少した出社利用頻度に合わせ、曜日毎の契約が可能なオフィスサービス「WEEK」などです。
「Neut」はリゾート会員権をオンラインで売買できるプラットフォームです。これまでアナログな対応が必要だったリゾート会員権の売買をオンラインでより簡単に行えたり、会員として簡単に施設を利用できるようになります。会員権はNFTというブロックチェーン上で取引が記録されているため、他通貨を利用している方にも便利です。
また、不要になった会員権や使用する予定のないチケットなどは、仲介業者へ依頼する手間や余計な手数料もなく好きなタイミングで売却できるため、従来のものよりも気軽に購入できます。
販売から予約までをNeut上で行えるため、既存の予約管理の運用と併用して会員権のビジネスモデルを導入できることが強みです。
「WEEK」は、曜日で借りることができるオフィスサービスです。コロナウイルスによって普及したリモートワークや、コロナが落ち着いたことによる出社回帰などにより、各社の出社形態も多様化しました。その中で、曜日を限定して借りる契約形態を可能にし、必要なときだけオフィスに集まるという今の時代に沿った就業体制の構築をサポートしています。
リモートワークを導入しているケースが多いIT業界や、プロジェクトで集まる機会のある大企業からの利用が多いです。
リゾートホテルの会員権は、多くの人にとって現実的なものではなく、現時点では富裕層に向けられた内容が多いです。特にラグジュアリーな場所だと宿泊客に求めるマナーの水準も高いため、資本の制限を設けることで宿泊客リテラシーの足切りをするという意味合いもあると思います。
ただ、自分のお気に入りの場所に何度も訪れることは一般層の人にもあるニーズです。そこでNeutは、NFTの技術を用いることで購買ユーザーの信頼を担保し、購買層の間口を広げることに取り組みました。そうすることで、ホテル側も安全に会員層を広げ、ユーザーも場所に紐づく体験を広げられるという世界を目指しています。
小さい頃から自分で会社を経営することに興味を持っていました。いま振り返れば、小学生の頃に流行った自作のオリジナルカードゲームが原体験だと思います。
当時オリジナルカードを折り紙で作っていたのですが、絵が得意な友人に折り紙6枚分を描いてもらう代わりに報酬として折り紙を1枚渡し、オリジナルカード6枚を折り紙3枚で販売するなど、原価・人件費を折り紙で換算していた事がありました。
その結果、私は大金持ちならぬ大折り紙持ち。あだ名が「社長」になったこともあり、社長という職業を意識し、いつしか自分の将来像として思い描くようになったと思います。単純ですよね。
実際に起業するにあたり、若手の起業が多いIT領域に定めたので、まずは強みをつけるために大学時代は独学でプログラミングを学んでいました。実務経験に昇華していくために、インターン先の社内システムの開発に携わらせていただいたこともあります。そうした素地を作るうちに自分の取り組みたい領域の輪郭が見え始め、人の生活に与える影響の大きいライフスタイルの領域でかつITの力の影響が大きい不動産事業にチャレンジすることになりました。
現在の不動産は効率的な販売を優先し、建物内の内装が規格化されていることが多いです。しかし、本来ちょうどいい間取りや室内の動線は個人のライフスタイルによって異なっており、どんなに特徴的な間取りであってもニーズにハマる人はいるはずです。
現在では自分好みの内装にするにはお金をかけてリノベーションという手段をとるしかありませんが、不動産と個人が直接繋がれるプラットフォームがあれば、もっと気軽に自分の求める住居を手に入れることも可能だと考えています。
そうした未来を目指し、その素地となるような事業開発に取り組んでいます。
私が起業するうえで大切だと思うことは2つあります。1つは「人」です。事業をピボットしたときに人が離れてしまった経験があるからこそ強く感じるのですが、仮に好きじゃないことに取り組まなければならない局面でも、気の置けない仲間や友達と一緒であれば、案外楽しめるものです。何をやるにしても、まずは誰とやるかが重要なのです。
その次にその仕事に「夢中になれるか」どうかです。私は今不動産業が好きで夢中になってやれているのですが、困難な状況に直面したときでも乗り越えられるのは好きでやっているからです。信頼できる仲間と、夢中になれることを見つけてほしいですね。
企業名 : 株式会社Pictors & Company
代表者 : 水口 史椰
所在地 : 東京都港区南青山
設立 : 2015年8月
従業員数: 5名
事業内容
・リゾート会員権プラットフォーム「Neut(ニュート)」運営
・オフィスサービス「WEEK(ウィーク)」運営
・不動産×ブロックチェーンの情報ハブ「Propwave(プロップウェーブ)」運営