【ナンバーグループ株式会社】
木内剛社長インタビュー
私は、約50年前から「東海地震」で騒がれていた静岡県で過ごしてきました。
田舎の長男であったため、23歳から30歳までの消防団活動で、地域防災の現実を肌で感じた一方、メディアを通じ30年前の阪神・淡路大震災以来、東日本大震災や能登半島地震等の災害時の過酷な現実を見てきました。
特に、直接の被災経験がないからこそ、トイレ問題に起因する「災害関連死」という見過ごされがちな課題に強い危機感を抱きました。
この課題を解決するために、「停電・断水・下水停止下でも水洗トイレが使える」システム構築を目指し、起業に至りました。
2024年3月15日設立、2025年3月10日に社名を改称という流れです。
事業の着想は、約10年前に前職時代に携わった「完全自給自足の家」プロジェクトの経験から、ライフラインに依存しないシステムの重要性を確信しました。
この経験と、未解決のトイレ問題を重ね合わせたことが、今回の「天然トイレ」プロジェクトの原点です。
私の座右の銘は、石原裕次郎の楽曲『勇者たち』の一節
「捨てるなよ戦いを男なら 最後に勝つ者になろうじゃないか」
です。
本音を言えば、「この構想はサラリーマンとして実現したかった」という思いがありました。
26年勤めた会社の組織の中で防災・インフラ事業として形にすることが理想でした。
しかし、現実はそう甘くありませんでした。人事異動という組織の都合により、自分が進めたかったプロジェクトから遠ざかり、会社の中ではもう実現できないと悟りました。
正直、悔しかったです。
会社員としては評価されず、道半ばで方向転換せざるを得なかったです。
でも、そこで諦めたら一生後悔すると思いました。
だからこそ、“意地でも成功させる”と心に決めて、この道を選びました。
誰の指示でもない、自分の意志で挑んだこの戦いで、必ず結果を出す。
その覚悟と決意が、今の原動力になっています。

当社の中心となる事業は、完全オフグリッド型水洗トイレシステム「天然トイレ」の開発と普及です。
主な技術仕様・構成:
太陽光発電+蓄電池+必要時にはLPガス発電機を補助電源とする自立型電力系統
井戸水の汲み上げ・貯水・浄水・配管を含む自立型給水システム
耐震・耐液状化構造を備えた高性能浄化槽
建物本体は、耐震ログハウス系建築(協力:株式会社アールシーコア)などを活用し、地域の防災拠点としての居心地・安心感も追求しています。
強みとしては
1.単なる「災害用トイレ」ではなく、日常から災害時まで同じトイレが使えるという“当たり前を守るインフラ”として設計されている点。
2.多企業・専門家との連携体制が整っており、技術力・施工力・維持管理力それぞれに信頼のあるパートナーを持っている点。
3.環境配慮(脱炭素・自然エネルギー活用)と防災力向上を同時に達成する“ハイブリッド価値”を提供している点。
災害時にも機能する持続可能なインフラこそが、真の安心をもたらすと考え、既存技術(太陽光発電、井戸水、浄化槽)の結集による「天然トイレ」を構想しました。このシステムは、トイレ問題の解決と脱炭素社会への貢献という二つの社会課題を同時に解決するものです。
国内トップクラスの企業、学術機関、行政との連携を通じて、ビジョンの現実化を目指します。



「天然トイレ」の差別化ポイントは以下の通りです:
真の水洗トイレであること:停電・断水・下水停止下でも水洗機能を維持。単なる仮設トイレ・簡易トイレとは一線を画しています。
完全オフグリッド型設計:商用電源・公共水道・公共下水道に依存しないため、災害時にライフライン停止という最悪の状況下でも使える設計です。
日常利用/災害利用のデュアルユース:普段は公共施設のトイレとして活用でき、災害時にはそのまま避難所・防災拠点トイレとして機能。設置コスト・運用コスト・地域住民の心理的ハードルを同時に低減します。
環境貢献+防災貢献:太陽光・井戸水・高効率浄化・耐震構造という設計により、脱炭素・資源自立・国土強靭化という社会的インパクトを同時に持っています。
この仕事のやりがいは、単なるビジネスではなく「命を守る社会インフラを創る」という実感が得られる点にあります。
また、日常利用と災害時利用という切り替え不要の設計で、公共施設として運用される“普段の安心”を地域に提供できるという点も大きなやりがいです。
さらに、技術・環境・社会課題の三つを統合して一つのプロダクトとして社会実装するというチャレンジ性の高さも刺激となっています。
最大の壁は、「トイレという“当たり前”が、災害時には命の問題だ」という認識が、社会一般には十分浸透していないことです。仮設トイレ・簡易トイレの準備は進んでいても、「日常の水洗トイレが停電・断水で使えなくなる」という問題が蔑ろにされてきたのです。

実際に災害が発生した時に、住民や周りの方のために尽力しなければいけない方です。
具体的には、自治体の災害対策本部や職員、医療福祉関係者、消防や警察県警の方、学校や保育施設等で働かれる方々です。この方々も、災害が発生した場合は「被災者」となります。
しかし、住民や周りの方々は個々に困っていることを主張し助けを求めてきます。
そんな状況の中でも、トイレには行きたくなるはずです。そのような対応を強いられる場面でトイレを我慢しながら適切な対応は困難です。そのような、周囲の方々に尽力しなければいけない方々には、きれいな環境のトイレを第一に提供すべきと考えます。

私たちの目先の目標は、2026年中に「天然トイレ」の第一号を受注し完工させることです。
その第一号をうまくプロモーションし、「災害関連死ゼロ」が“当たり前”の社会にするため、トイレを入り口として“次世代防災インフラ”「天然トイレ」の普及を推進します。
環境面では、導入施設を通じて脱炭素効果・資源自立化効果を数値化し、自治体の脱炭素ロードマップに貢献します。
最終的には「災害が起きても安心して暮らせるインフラネットワーク」の一員として、トイレを軸に地域住民・自治体・企業が自然に連携する構造をつくりたいと思っています。

この記事をご覧頂いている皆さまへ。
「災害時のトイレは我慢するもの」という常識を、共に変えていきませんか?私たちが提案する『天然トイレ』は、命を守るためのインフラであり、脱炭素社会への一歩でもあります。
地域の安心・尊厳・笑顔を守る社会を、共に創りましょう。どうか、今一度、「トイレから始まる安心」という視点を持って頂ければと思います。ご支援・ご協力を心よりお願い申し上げます。

企業名 : ナンバーグループ株式会社
代表者 : 木内 剛
所在地 : 410-2132 静岡県伊豆の国市奈古谷1142-1
設立 : 2024年3月15日
従業員数: 2名
事業内容: 災害時も使える水洗トイレシステムの開発と普及