【株式会社SHISEILABO】
武山 和社長インタビュー
山口大学で建築・デザイン・認知心理学の基礎を学んだことは、現在の事業に大きな影響を与えています。
都市計画学では、都市景観や都市の構成システム全体を俯瞰したうえで顧客を捉える思考を養いました。建築計画学は、住空間やオフィス空間における快適性を考えるベースとなり、建築意匠設計を通じて人間の行動と環境の関係を基礎から学びました。
また、バウハウスの歴史を起点に3Dデザインや色彩デザインを学んだことは、現在のデザイン・設計業務に直接活きています。さらに、認知心理学を通じて「人を理解する」マーケティングの基礎を身につけられたことも非常に大きかったと感じています。
加えて、国立大学の一般教養として文化人類学・哲学・地学・政治学・歴史学など幅広い分野を学んだ経験が、現在の事業の広がりやクライアントの世界観を把握する力に生かされています。
「起業を志した」という大それたものではなく、高校生の頃から漠然と「自分で仕事をつくりたい」と考えていました。
山形へ移住したことをきっかけに、地方と都市のギャップという問題に向き合いはじめ、「社会がよくなる仕事をつくりたい」という思いから、25歳のときに会社を設立しました。
また、20歳の頃に初めてアジアを一人旅した経験も転機のひとつです。世界にはさまざまな人種・価値観の人がいること、そして同じように人生を模索する同世代の韓国人やタイ人と出会えたことで視野が大きく広がりました。海外の友人ができたことが、自分で仕事をつくるという意志の原動力になったと感じています。
成長の定義は人それぞれですが、私はあえて「成長を意識しないこと」が大切だと考えています。
目の前のことに集中し、工夫を重ねる。すると、今日できることが昨日より一つ増えていく。それが結果としての成長です。相手がいるならば、その期待を超えることを一生懸命考える。そうすれば、道は自然と続いていきます。やりたいことがあったらやってみる姿勢と好奇心を大切にしています。
個人的には、毎日欠かさず英語の学習を続けています。AIのライブ翻訳機能を活用する場面でも、少しでも英語が話せると、ビジネスチャンスも人との出会いも広がります。言葉を使って人と直接会話することに、変わらない価値があると感じています。
モチベーションを「仕事や活動の動機」と言い換えるなら、小さなことでもさまざまな分野に興味を持ち、「もっとよくするには?」と自問するようにしています。世の中の問題も自分の言葉に置き換えることで、初めて自分ごとになるからです。
また、仕事に対して「誰に貢献できるか?」という具体的な相手を常に設定するようにしています。クライアント、顧客、パートナー、子ども、家族、友人など——自分の作業や仕事が誰かの役に立っているイメージを持ちながら時間を使うことが、私にとってのモチベーションの源泉です。
大学時代のデザイン講義で出会った、米国の建築家ルイス・サリヴァンの「形態は機能に従う」と、「不易流行」——この2つの言葉を大切にしています。
サリヴァンの言葉は、デザインの本質を突いています。見た目の美しさより、機能や目的こそが形を決めるべきだという考え方です。一方、松尾芭蕉が俳諧の精神として説いた「不易流行」は、変わらない本質を守りながら、時代とともに変化することを恐れないという教えです。
この2つは、実はとても近いところを指していると思っています。「形態は機能に従う」とは、時代や文脈が変われば求められる機能も変わり、それに伴って形も変わっていくべきだということ——つまり「流行」の部分です。しかし、「機能に従う」という設計思想そのものは揺るがない——それが「不易」の部分です。
変えていいものと、変えてはいけないものを見極める。その両眼を持ち続けることを、この2つの言葉が教えてくれています。
株式会社SHISEILABOは、吉田松陰が座右とした「至誠」——「誠に至る」という精神を研究する場所としての意味を込めて名付けました。
特定の専門的バックグラウンドを持たないことを逆に強みと捉え、多種多様な分野で専門性を研究し続ける場所として会社を立ち上げました。
2015年の創業時はスキルも実績もゼロからのスタートです。ITの知見を積み上げる必要性を感じ、宿泊施設の紙の予約台帳を一件ずつ電子化するところから始め、スキルを身につけながら少しずつ仕事をつくっていきました。
ブランドアイデンティティとしてカワセミを使っています。水面を高速で飛び、一点に狙いを定めて飛び込むカワセミ——そのブレない精度と鮮やかな美しさが、私たちの仕事のイメージと重なります。無駄なく本質を射抜く姿勢をブランドの核に置いています。
仕事は本来、楽しくて人生を豊かにし、自分たち自身の生活の質を高めるものだと捉えています。
5年先も10年先も、AIやデジタル技術といった手法にとらわれず、本質的な価値を追求するクライアント・エリア・人とのコラボレーションを実現し、社会の構成システムのアップデートにポジティブに貢献すること——それが私たちの理念の根底にあります。
地方都市・大都市という枠組みで世界を設計すると、経済が先行し、自然景観や文化的な価値が失われてしまいます。
具体的な取り組みのひとつとして、企業が保有するデータを分析・活用設計し、社会のために役立てるという仕事があります。データを最大限に活用することで、視覚的な広告や経済活動を相対的に減らし、自然景観と人間の活動エリアを「地方か大都市か」という二項対立で捉えない新しい価値観を創出できると考えています。
クリエイティビティとは、想像力や期待を超えることだと考えています。また「私たちにしかできないことは何か?」を問い続けるヒントを与えてくれる言葉でもあります。
クリエイティビティを用いてパートナーやエンドユーザーの想像を超えることで、信頼関係を構築していく——それが私たちのスタイルです。

大きく2つのアプローチがあります。
ひとつ目は、データ分析・設計・活用における創造的アプローチです。
AIやPythonを活用する際、目的設定の段階から独自の視点を持ち込みます。たとえば美容院の顧客販売データを分析する場合、一般的には広告配信の精度向上に使われますが、私たちはさらに踏み込み、顧客行動を捉え直すことで新規サービスや新規ブランドの立ち上げにデータを活用します。
ふたつ目は、企業向けAIワークショップです。
自社データをAIで分析するワークショップでは、ツールの使い方より「使う人間の視点」の重要性をお伝えすることを大切にしています。
たとえば建設会社向けのワークショップでは、Claude・ChatGPT・Geminiを使う前に、「過去の施工実績データを分析して何を実現したいのか?」というテーマで、「見積りをもっと簡単にしたい」「より良い空間提案をしたい」など、データ活用によって得られるポジティブな未来をまず個人個人でイメージしてもらうことを大切にしています。
マーケティング領域では、短期的な成果を上げるパフォーマンスマーケティングと、長期的なブランド資産を積み上げるブランドマーケティングを同時に展開しています。PinterestやGoogleを活用しながら、目先の利益だけを追わない長期的なブランドパートナーとして伴走できることが強みです。
プロダクト開発領域では、化粧品・アパレルブランドのほか、モバイルアプリ開発まで、要件定義・デザイン・開発を一貫して支援しています。マーケティングの専門知識を持ちながらプロジェクトマネジメントもできる点、さらにモバイルアプリのワイヤーフレームまで自社で設計できるマーケターチームは業界でも珍しい存在だと自負しています。
また、2026年からは採用ブランド開発にも注力しています。採用が困難な時代に、採用ブランドの開発プロセスを通じて企業のリブランディングを実現します。具体的には、ミッション・ビジョン・コンセプトの再定義、コピー開発、そして「どのような人たちとつながりたいか」の言語化を行います。採用ブランドをつくる過程で、企業全体のブランドが自然と再構築されていくのが特徴です。
最大の強みは、戦略から制作・開発・広告運用まで一気通貫で担える点です。複数の外注先をつなぐのではなく、一つのチームとして伴走するため、一貫性を保ちながら動けます。
また、数字やペルソナだけでなく、建築学をベースに生活者の感情や行動の文脈まで掘り下げてから戦略を設計する点も他社との大きな差別化ポイントです。
チーム構成の面でも独自性があります。業務委託者とは契約や報酬だけでなく、ミッション・フィロソフィー・ビジョンでつながっています。クライアントの課題に応じた最適なチーム編成ができること、そして私の周りに「謙虚なプロフェッショナル」が集まっていること——これが、最大の差別化ポイントかもしれません。
ブランドの本質を「一行」に圧縮したものが、ログラインです。映画の脚本技法から着想した手法で、「主人公が、どんなハードルを乗り越えて、何を達成するか」を一文で言い切ります。これにより、社内コミュニケーションもクリエイティブの方向性も、すべてが揃います。
ワークショップでは、誰もが知る企業のログラインを考えることから始めます。
同じ業界でも、言語化するとこれだけの違いが生まれます。ログラインは、ブランドが立ち戻る場所であり、ブレない軸になります。
「営業会社からマーケティング部門をつくりたい」というご相談は非常に多いのですが、多くの場合、最初の目標は「3ヶ月で実績を出したい」という短期的なものです。
一時的な成果を上げることは可能ですが、私たちが目指すのは「会社やブランドの核をブランディングしながら成果を上げること」です。そうすることで、自走した後も選ばれ続けるブランドが育ち、結果としてマーケティング部門の設立につながっていきます。
具体的な事例として、「何を売っているかは分かるのに、なぜ選ばれるのかが言語化されていない」というクライアントとの伴走があります。ログラインとミッション・ビジョンの策定、顧客インサイトの整理から始め、ブランドポータルを内製化した結果、問い合わせの質・量が大きく変化しました。
答えを渡すより、一緒に課題を発見することを大切にしています。課題設定がずれていると、どんな施策も的外れになります。そして、自社で課題を特定できない企業は、いずれ衰退してしまいます。
最初のヒアリングから、「何が本当の課題なのか」を見極めるための質問設計に最も時間をかけています。また、業務委託者とのパートナー関係も重要です。仕事への哲学やビジョンで共鳴できるパートナーを少しずつ増やすことも、伴走型支援の質を高める上で欠かせない要素です。

「仕事は本来、楽しくて人生を豊かにするものだ」という信念です。クライアントにとっても、スタッフにとっても、その実感がある状態をつくることが健全な組織の証だと思っています。
志のある若いマーケターやエンジニアに、仕事のスタンスや個人の視点の大切さを伝えることも、私たちにできる価値提供のひとつです。
運営面では、1日のミーティングは最大3件というルールを設けています。ミーティングの目的は「相手を理解し、コミュニケーションを深めること」だと考えているため、余裕を持って向き合える状態をつくることを重視しています。
このルールにより、メールやチャットの返信も3時間以内に対応でき、考える時間を確保した上でパフォーマンスを最大化できます。周囲の経営者にも直接お勧めしているほど、効果を実感しています。
自分自身に問い続けること、そして質問を大切にすること。また、チャレンジしている人の力になれるよう意識して行動しています。
物事をカテゴライズせず、「orではなくand」で考えること。現時点での資産や能力ではなく、「どんな価値をなぜ届けているか」「今後提供できる価値は何か」を軸に人と関わるようにしています。
「誠に至る」という至誠の精神も、すべての根底にあります。小手先の成果より、本質的な課題に向き合い挑戦し続ける姿勢が、長期的な信頼につながると信じています。
世界を独自の視点で捉える力が養われると思います。当社では「成功」という言葉を使わない文化があります。「成功」ではなく「挑戦」を続けることで、恐れずに動けるからです。
クライアントの変化を間近で見られる環境、グローバルな視野で仕事ができる点、そしてアートとビジネスを融合させて考える文化——これらが、このチームの醍醐味だと感じています。
2015年の創業以来、会社としてのポジショニングや見せ方を問い続けてきました。「規模を大きくしない少数精鋭でいること」「社会の構成システムとしての会社のあり方を問い続けること」——一般的な企業の目指す姿とは異なるミッションを軸に経営し続けることが、ひとつの困難でもありました。
また、戦略・戦術・開発・プロモーションを総合的に担える会社であることが、かえって伝わりにくいという壁にも直面しました。2022年頃からサービスの見せ方を絞り、言語化し直すことで、少しずつ信頼が積み上がっていきました。
ほぼすべてのサービスで、この視点を出発点にしています。「生活者がどんな一日を過ごし、どんな感情で商品やサービスを選ぶのか」——戦略設計の段階から、常にこの問いを持ち続けます。
データはその仮説を検証するためのもの。企業視点から逆算するのではなく、生活者の物語に企業が寄り添う設計を心がけています。
全国の中小企業の経営者・役員の方に活用いただくことで、社会がよりよくなると考えています。特に、マーケティング部門が存在しない企業や、マーケティングを丁寧に内製化していきたいと考える経営者との相性が良いです。
また、採用をブランドにしたい企業や、創業間もないベンチャー企業にも、費用対効果の高いサービスを提供できています。
「何となく選ばれる状態」から「理由があって選ばれる状態」へ——この変化を生み出したいと考えている経営者や事業責任者の方、ぜひご相談ください。価格競争から抜け出したいとお感じの方とも、ぜひ一緒に仕事をしたいと思っています。
最初の接点としては、社外マーケティングパートナーとしてアドバイザー的に活用いただくケースから始まることが多く、関係構築がスムーズに進むことが多いです。
AI活用とブランド戦略の融合はさらに深めていきます。暗黙知を形式知化する動画インタビューサービス、採用ブランド構築、AIを活用したシステム開発など、社会の変化に合わせた新しいサービスの準備を進めています。
「空庭」を軸にした教育領域への還元や、地方企業の海外進出支援も引き続き注力していく分野です。
個人的には、2025年から小説の執筆を始めました。事業を通じて養った考え方や、日常の業務プロセスでは言葉にしきれない想いを、小説を通じて発信していく予定です。またアート活動にも力を入れており、日本文化をデジタルアートで表現しています
個人事業主が増えていく中で、「マーケティング企業が個人にも選ばれる」時代が来ると考えています。世界中から優秀な個人にオファーされるような会社でありたいと思っています。
「スモールグローバルカンパニー」という言葉通り、規模を大きくするより、世界どこでも通用する質の高い仕事を続けられるチームでいたい。利益の最大化より、個人とチームの継続的な成長、そしてクライアントパートナーの利益を大切にした組織を目指しています。
2031年頃には、温泉施設を活かした日本文化発信の拠点を国内に構える予定です。宿泊・レストラン・デザインスタジオ・研究室・研修工房・体験施設・アート空間を併設したエリアを構想しています。
本質的な思考を持ち、行動力に優れたマーケターだけが生き残っていくと思います。AIによって「量」の問題はほぼ解決されます。その分、「なぜそのブランドでなければならないか?」という本質的な問いの価値が、より高まっていきます。
ブランドの核がないまま量だけを出しても、消費者には届かない——その時代は、すでに始まっています。
記事をお読みいただき、ありがとうございます。
AI時代、ツールは溢れていますが、問いの質と独自の視点こそが大切だと思っています。ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンを正しく理解し、「多様性」という言葉が言い訳に使われない世の中になることを願っています。
自分自身に、そのときのタイミングで正しい問いを立てられると、生きづらさは少しずつ減っていくはずです。企業として「何を解決したいのか」が明確になると、やるべきことは驚くほどシンプルになります。
その問いを、一緒に深めるパートナーでありたい。この記事をきっかけに、ご縁が生まれることを楽しみにしています。

企業名 : 株式会社SHISEILABO
代表者 : 武山 和
所在地 : 山形県山形市
設立 : 2015年2月9日
従業員数: 役員2名、顧問2名、エグゼクティブパートナー3社、業務委託20名超
事業内容: データ分析活用、顧客管理、IT開発、Pinterest広告運用、プレスリリース代行、SNS運用、ワークショップ、AI研修、モバイルアプリ開発、ホームページ制作、GoogleWorkspace導入、PMI支援、ソーシャルデザイン事業、パフォーマンスマーケティング、ブランドマーケティング、コミュニケーション企画、ブランディング、ロケーション開発事業(地方都市、商業施設、ホテル、レストラン、店舗、旅館など)、プレスリリース、販売促進事業(NPOや自治体との連携プログラム)、キャンペーン企画、イベントディレクション事業、制作事業(製品開発、サービス開発、ブランドデザイン開発など)、若手起業家支援、スポーツクラブ運営事業
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