【株式会社Milly】
北村 丈社長インタビュー
「近くの会社に図面をパッと送れたら」という製造業の社長のふとした一言が、すべての始まりでした。
その言葉から「分断されている町工場同士の『横の繋がり』を構築できれば、日本の技術力はそのまま世界と繋がることができる」と直感的に確信しました。しかし多くの経営者と向き合う中で、日本の製造業が抱える根深い「業界構造の課題」が浮き彫りになってきました。
大手メーカーへの1社依存では厳しいコストダウン要求に応えざるを得ず、物価高や賃上げが続く中で売値を上げられない。自ら新規開拓をしたくても、社長自らが現場で機械を回し、外に出る時間すらない。ただ毎日、工場の中で一つひとつの技術を誠実に磨き続けている——それが日本の町工場のリアルな姿です。
私は、そんなひたむきに技術を磨く職人たちが報われない構造をどうしても変えたいのです。
技術はあるのに、繋がり方がわからない。 そんな職人たちが報われない構造を変えるべく、新機能『AI営業部長』をリリースしました。ターゲット企業のリスト化から営業メールの作成・送信までを、AIが一貫して代行する機能です。
最初の「情報の壁」さえ突破できれば、日本の技術は世界で十分に戦えます。彼らが本来のモノづくりに100%集中できる環境を創ること——それがMILLYの事業構想です。
最大の背景は、現場のシステムが「ツールごとに分断されている」上に、直感的に使えないという現実です。だからこそMILLYは、「説明書がなくても、今すぐスマホで直感的に使えるシンプルさ」にこだわっています。

なぜチャット機能が必要か。 製造業では「明日までに欲しい」といった超短納期案件が日常茶飯事ですが、現場では「作業を止めて手を洗い、事務所に上がってPCを開く」こと自体がタイムロスです。夕方まとめて確認し徹夜で対応する環境を変えるため、スマホでその場にレスポンスできるチャット機能が不可欠でした。
CRM(顧客管理)も同様です。 1社あたり平均20社ほどの協力工場との間で、「あの会社にはどんな加工機があるか」「前回はどう見積もりを出したか」などの取引情報が特定の担当者の頭の中にしかない「属人化」が起きており、その人が辞めれば会社の資産が消えてしまう。だからこそ、誰もがスマホで簡単に情報を残せる仕組みが必要でした。
請求書の管理まで一元化している背景には、製造業のお客様から「MILLYはマッチングするだけで、取引の保証はしてくれないの?」というお声をいただきました。製造業において、初めての取引では、納品後の倒産や入金遅延のリスクが常につきまといます。
そこでインターネット大手のGMO様と提携し、「掛け払い(決済保証)」を導入しました。与信調査は大手が代行し、納品すれば確実にキャッシュインが保証され、買い手側に手元資金がなくても肩代わりしてくれる仕組みを整え、100%安心して新規取引に踏み出せる環境を作りました。
さらにこの請求データは、新機能『AIジョー(AIエージェント)』の精度向上にも活用します。現在は加工方法や設備情報をもとに検索していますが、「納期」や「価格」の実績データが加わることで、マッチングの精度は飛躍的に向上します。
繊細な情報なので、もちろん価格情報は他社には非公開とし、アルゴリズムの改善にのみ活用する予定です。

私たちが目指すのは、資本力や営業力がある会社だけが案件を取る世界ではありません。 本当に技術があり、QCD(品質・コスト・納期)がしっかりしている会社をAIジョーが見つけ出し、誠実に取引を重ねるほど売上が上がり、中小企業が大手へと成長できる——そんな世界です。
その実現のために、チャットでの出会いから顧客管理、安心できる請求・決済まで、一気通貫した機能が不可欠なのです。
また、AIによる『自動翻訳』も備えているため、この一元化された環境のまま言語の壁を越え、海外からの案件にもシームレスに対応できます。日本の素晴らしいものづくりと世界を、手のひらのスマホから直接繋げていきます。
最大の理由は、不透明なマッチング構造では「日本の製造業が根本から衰退してしまう」という危機感です。
もちろん間に入って「品質保証」や「支払いリスクの肩代わり」を担い、自ら実際に組み立て(アッセンブリ)の工程まで請け負い、現場を支える製造業の方々は欠かせない存在です。
しかし問題なのは、「顧客情報を隠したまま横流しするだけ」で手数料を抜く構造や、それを助長してしまう一部の「成果報酬型」マッチングモデルです。
情報がブラックボックス化されたまま、図面を投げて「一番安いところに作らせる」という単発の取引では、業界は何も変わりません。材料費、人件費、機械チャージ、そして職人の高度な技術に、本来乗るべき利益が削られ続ければ、「良い給与が払えない、人が採用できない、新しい機械が買えない」という負のスパイラルに陥ってしまいます。
利益を最も享受すべきなのは、モノづくりをしている中小企業自身です。 だからこそMILLYは、企業同士が直接信頼関係を築けるよう、仲介手数料を取らない「月額型」モデルを採用しています。

「横と横の関係性」にこだわるのは、製造業の本当の面白さと強さが「工程の繋がり」にあるからです。
鉄の塊を削る『切削加工』があり、その後の『表面処理』、周りを囲う『板金加工』、それらを繋ぐ『溶接』、そして『組み立て』がある。
すべての工程は繋がっています。
表面処理・切削加工・板金加工の会社など、それぞれ異なる会社が組み合わさることで、1社単独では取れない高付加価値の大型案件を獲得できる。「今日は自分が横の繋がりを頼り、明日は相手が自社を頼ってくれる」——この相乗効果と結束力こそが、中小企業が強くなるための道です。
MILLYは単なる「出会いの場」では終わりません。
AIエージェントで試作品や小ロットという「最初のハードル」を下げ、そこから生まれた繋がりをチャット・取引履歴・CRMで「強固なパートナー関係」へと育てていきます。
この横の繋がりが全国規模で強固になれば、グローバルな難案件でも日本全体でチームとして獲得できるようになる。「もう一度、ものづくりといえば日本だ」と世界に証明するために、私たちは「横と横の関係性」の構築に命を懸けています。
台湾政府やJETROの競争率の高いプログラムに採択いただき、世界の最前線に挑戦できたことに、サポートしてくださった皆様、ご期待を寄せてくださる製造業の方々に心から感謝しています。
シカゴ、デトロイト、台湾の現場で得た最大の収穫は、「日本の製造業のポテンシャルは、世界から想像以上に渇望されている」という確信です。学生時代にブラジルで感じた「日本への絶大な信頼」は、今も世界中で色褪せていませんでした。
それを象徴する出来事がデトロイトでありました。現地で出会ったドイツの大手自動車メーカーの担当者が、「アメリカやカナダのサプライヤーはコストが高すぎる。日本の技術でパートナーを探したい」と語ってくれたのです。
円安も重なり、海外から見れば日本の見積もりは想像の半分ほどのコストです。
しかも日本製は壊れにくく、要求精度に対して完璧な品質——これほどの競争力は他にありません。
それでも取引が生まれない理由は一つ、「コミュニケーションの壁」です。「日本の中小企業は国内でしか取引できない」と思われていたのは、技術や価格の問題ではなく、言語やデジタルの遅れによって日本側が見えない壁を自ら作ってしまっていたにすぎません。
「日本企業である」というだけで、世界に出るためのハードルはすでに極限まで下がっています。
今こそテクノロジーの力で、これまで商社が担ってきた繋がりを「1対Nの巨大なネットワーク」へと拡張するタイミングです。MILLYの『AIエージェント』と『自動翻訳』が本格稼働すれば、自ら海外営業をしなくても、待っているだけで海外から母国語で加工依頼が届く世界が実現します。
この素晴らしい日本の技術と世界を繋ぐため、MILLYは1日でも早くサービスを磨き、1社でも多くの中小企業に届け続けます。
行動し続ける先に、日本の技術が世界中から直接求められる未来が必ずくると信じています。

5年後には、日本国内のインフラ化を完了した上で、アメリカ・台湾・ドイツ・中国・韓国・ブラジル・インドといった世界の主要なモノづくり大国との「グローバル取引」を実現します。
AIエージェントと自動翻訳を駆使し、言語の壁を意識することなく協働製造が行われている状態を確立します。
10年後には、MILLYを「全世界で当たり前に使われているインフラ」へと成長させます。
「グローバルで製造業の取引をするならMILLY」と言われる、国境を越えたモノづくりのデファクトスタンダード(世界標準)を目指します。
しかし会社の規模拡大以上に、私が心の底から実現したい未来があります。
それは、MILLYを通じて中小製造業が売上と利益を上げ、規模を拡大し、IPO(株式上場)を果たすことです。
ピラミッド構造の下請けとして苦しんでいた町工場が、世界中から技術を評価され、適正な対価を得て誰もが知る上場企業へと成長する——そんなサクセスストーリーを5社・10社と生み出すために、私たちはMILLYという事業に命を懸けて取り組みます。
日本のものづくりは、必ずもう一度世界で勝てます。

企業名 : 株式会社Milly
代表者 : 北村 丈
所在地 : 東京都港区北青山1丁目3番1号 アールキューブ青山3階
設立 : 2023年7月3日
従業員数: 7名
事業内容: 製造業向けコミュニケーションサービス「MILLY(ミリー)」の開発・提供
URL : https://www.milly-platform.com/