【株式会社flaro】
安部 修平社長インタビュー
大学卒業後、富士紡ホールディングスにて経営管理部門で海外拠点を含む子会社の連結決算業務に従事。その後、約150店舗を運営する株式会社TBIホールディングスに入社し、経営企画本部長、IPO推進室責任者、デジタルイノベーション部門立ち上げを担当。在職中にグロービス経営大学院にてMBAを取得。2022年に株式会社flaroを創業、代表取締役に就任。一般社団法人レストランテック協会専務理事。
学生時代に居酒屋でアルバイトをしていたことが、飲食業界に惹かれる最初のきっかけでした。お客様が美味しい料理とお酒を楽しみながら笑顔になる姿、スタッフ同士が協力しながら忙しい時間を乗り越える一体感。飲食の現場には、人と人とのつながりが生み出す価値があると感じました。
その後、紡績会社や飲食企業で経営管理の仕事に携わる中で、飲食業界のDXが非常に遅れていることを痛感しました。手入力やFAX、表計算ソフトによる管理が中心で、経営判断に必要な情報がタイムリーに把握できない。この業界全体の構造的な課題を解決し、飲食店が本来注力すべき「おいしい料理を作ること」「心地よいおもてなしをすること」に集中できる環境を作りたい。その想いが、現在の事業を志した原点です。
紡績会社での経験は、複数拠点・複数子会社のデータを正確かつ迅速に統合する手法を学ぶ貴重な機会でした。海外拠点も含めた連結決算業務では、情報収集の仕組み化と精度管理の重要性を身をもって理解しました。
一方、飲食企業に転職した際には、大きなギャップを感じました。紡績会社では当たり前だったスピーディな情報収集が、飲食業界では驚くほど時間がかかっていたのです。紙・FAX・メールといった情報共有手段が混在し、表計算ソフトでの手入力が中心で誤入力も多発。各店舗から正確な情報を迅速に収集することが困難な状況でした。
この「できて当然のことができない」という経験が、FLAROの開発コンセプトに直結しています。経営管理のプロとして培った知見を、飲食業界に特化したシステムとして落とし込むことで、業界全体のDXを推進したいと考えています。
学生時代は居酒屋でアルバイトをしながら、飲食業界の現場の魅力を肌で感じていました。
大学卒業後は、富士紡ホールディングスに入社し、経営管理部門に配属されました。ここでは、海外拠点を含む多くの子会社の決算書類を回収・合算し、連結決算書を作成する業務に携わりました。複数拠点からデータを迅速かつ正確に収集・統合するノウハウを学んだ経験は、現在の事業の基盤となっています。
その後、約150店舗を運営する株式会社TBIホールディングスに転職し、経営企画本部長として経営管理全般を担当しました。また、IPO推進室の責任者として上場準備を進めるとともに、MEOやPESOモデルを活用するデジタルイノベーション部門を新設し、飲食企業のDX推進にも取り組みました。
在職中にMBAを取得。経営理論と実務経験の両面から、飲食業界の課題解決に向けた視野を広げることができました。
飲食企業で経営企画本部長として働く中で、飲食業界のDXが遅々として進んでいない現実に直面しました。多店舗展開している企業でさえ、経営数値の把握に何日もかかり、迅速な意思決定が妨げられていました。出店スピードも鈍化し、成長の足かせになっていたのです。
しかし、目線を変えれば、それは可能性に満ちあふれているということ。この課題を解決できれば、飲食業界全体に大きなインパクトを与えられる。そう確信し、創業しました。
私の想いに共感してくれたメンバーを集め、翌年4月には経営管理プラットフォーム「FLARO」をリリース。飲食業界で培った実務経験と、経営管理のプロとしての知見を結集し、現場が本当に必要としているシステムを開発することができました。
最もこだわったのは、「知りたい情報が一覧で瞬時に見える」という点です。
飲食企業の経営者や店長が本当に必要としているのは、売上だけでなく、食材原価、人件費、広告宣伝費、家賃といった各コスト項目を含めた「営業利益」をリアルタイムで把握することです。FLAROでは、POSシステム、受発注システム、勤怠・シフト管理、入退社情報、経費データなどを連携し、レジ締めと同時に自動で数値が反映される仕組みを実現しました。
また、会社単位、業態単位、店舗単位でデータを確認でき、どの店舗が最もフードコストが高いか、人件費が高いかが一目瞭然。経営者が俯瞰的に戦略を立てることも、現場の店長が自店の改善点を把握することも、同じプラットフォーム上で可能です。
スマートフォンからも確認できる設計にこだわり、いつでもどこでも経営数値にアクセスできる環境を整えました。

多店舗展開をしている飲食企業のほとんどは、すでに何らかの経営管理システムを導入しています。しかし、「POSシステム」「予約管理システム」「受発注管理システム」「入退社管理システム」など、各システムがバラバラで導入・運用されているケースが非常に多いのです。
そして、それらを店舗ごとに集計し、本部で管理するには表計算ソフトによる手入力やCSV連携が必要になり、時間がかかったり、入力ミスが起きたりしてしまいます。結果、経営者や現場の店長の情報把握と意思決定が遅れてしまう。
FLAROの思想は、「すでにあるシステムを活かしながら、データを一元化する」ことです。既存のシステムを入れ替える必要はなく、FLAROがハブとなって各システムをつなげることで、経営の見える化を実現します。飲食企業が新たに大きな投資をすることなく、DXの恩恵を受けられる。そのような設計思想を大切にしています。

リリースから2年で約1,700以上の店舗・事業所に導入いただけた要因は、大きく3つあると考えています。
1つ目は、飲食業界の実務経験に基づいた「現場目線」の設計です。経営者が本当に知りたい情報、現場の店長が日々必要とするデータを、的確に可視化できる仕組みを構築しました。
2つ目は、カスタマーサクセスチームによるきめ細かなサポートです。導入企業様のITリテラシーに応じて、頻繁にミーティングを設けて疑問点に答えるなど、スムーズな立ち上げを支援しています。システムを導入して終わりではなく、活用いただくところまで伴走する姿勢を大切にしています。
3つ目は、豊富なシステム連携です。連携できないシステムがあると「FLAROに乗り換えられない」という事態が起きますが、当社は主要なPOSや受発注システムとの連携を積極的に進めており、導入のハードルを下げています。
飲食業界が抱える課題は多岐にわたりますが、特に深刻なのが「手入力業務の負荷」「ヒューマンエラー」「情報把握の遅れ」「人手不足・長時間労働」です。
FLAROは、Excelなどへの手入力をデジタル連携に置き換えることで、リソース負荷を大幅に軽減します。また、自動でデータが連携されるため、ヒューマンエラーのリスクも低減。FAX送信や資料送付といった手間のかかる業務から現場を解放します。
経営数値がリアルタイムで可視化されることで、経営者はスピーディな意思決定が可能になり、現場の店長は自店の状況を把握した上で具体的な改善アクションを取れるようになります。
デジタルに任せられる業務はデジタルに任せ、飲食業ならではの「人にしか生み出せない価値」の創造に集中していただきたい。それがFLAROの貢献のあり方です。
最も苦労したのは、サービスリリース初期の顧客獲得です。
FLAROがどれほど優れたサービスであっても、実績がない段階では信頼を得ることが難しい。飲食企業の経営者の方々に「このサービスなら任せられる」と思っていただくために、一社一社丁寧に説明し、課題をヒアリングし、具体的な導入効果をお伝えする地道な活動を続けました。
そこから学んだのは、「お客様の課題に真摯に向き合う」ことの重要性です。自社のサービスを売り込むのではなく、お客様が抱える課題を深く理解し、それを解決する手段としてFLAROを提案する。この姿勢を貫いたことで、徐々に信頼を獲得し、導入企業を増やすことができました。
また、初期のお客様から率直なフィードバックをいただき、サービス改善に活かしたことも大きな学びでした。お客様の声こそが、サービスを成長させる最大の原動力です。
「flaro」は、飲食店経営において重要な5つの経費カテゴリーの頭文字を組み合わせた造語です。
この5つの要素は、飲食店の収益構造を理解し、経営改善を図る上で欠かせない指標です。企業名にこれらを込めることで、「飲食店経営のために存在するサービス・企業である」という想いを表現しています。
まさに飲食店経営の根幹を支えるプラットフォームでありたい。その志を、社名に込めました。
このMISSIONには、テクノロジーと人間の理想的な関係性についての想いを込めています。
飲食業界では、データ入力や集計といった定型業務に多くの時間が費やされています。しかし、そうした業務は本来、テクノロジーが得意とする領域です。一方、お客様との心のこもったコミュニケーション、チームメンバーのマネジメント、新しいメニューの創造。これらは人間にしかできない、クリエイティブで価値の高い仕事です。
FLAROによってデジタル化できる業務はデジタルに任せ、人は人にしかできない仕事に没頭する。そうすることで、飲食業界で働く人々がより充実感を持って働ける環境を作りたい。お客様により良いサービスを提供できるようになりたい。
「人が人らしく没頭できる未来」とは、テクノロジーが人の可能性を最大限に引き出す未来のことです。

「AIによる経営アシスタント」機能は、経営者の意思決定をさらにスピーディかつ的確にサポートするものです。
現在のFLAROは、経営数値を可視化し、リアルタイムで把握できる環境を提供しています。しかし、データを見て何をすべきか判断するのは、経営者自身の役割です。
AIによる経営アシスタント機能では、たとえば「今月の売上目標達成のために、具体的にどのようなアクションを取るべきか」といった問いに対して、AIが具体的な提案を行います。過去のデータや業界のベストプラクティスを分析し、「A店舗では客単価アップのキャンペーンが有効」「B店舗では人件費の見直しが優先」といった具体的なアドバイスを提供できるようになります。
私の経営管理の経験と、当社が蓄積してきた飲食業界のノウハウを活かしたプロンプト設計により、単なるAIではなく「飲食業界を知り尽くした経営アシスタント」を実現します。
東南アジアは経済発展が著しく、成長への勢いを感じる地域です。現在、FLAROの開発業務の一部はベトナムの現地企業に委託しており、その関係を通じて現地の市場環境を肌で感じています。
グローバル展開の戦略としては、まず現地に進出している日系の飲食企業の経営課題解決を支援することから始めます。日本で培ったFLAROの価値を、海外展開する日系企業にも提供し、グローバルでの経営の「見える化」に貢献します。
その実績を基盤として、将来的には現地企業へのFLAROの浸透を図りたいと考えています。東南アジアの飲食業界も、日本と同様にDXの余地が大きい。私たちの知見とテクノロジーが、現地の飲食業界の発展にも貢献できると信じています。
飲食企業のIPOやグローバル展開といった成長戦略の実現を後押しすることが、flaroの目指す姿です。
飲食業界では依然として手入力による業務が多く、API連携も不十分で、DXが遅れています。さらに、人手不足や長時間労働といった課題も深刻です。
しかし、だからこそ変革のチャンスがあります。
FLAROは、飲食業界におけるこうした根本的な課題を解決し、経営者がマネジメントや意思決定に集中できる環境を提供します。これにより、飲食企業の多店舗展開や売上拡大を支援し、「スマートな経営」の実現を後押しします。
飲食店が本来注力すべきは、お客様に美味しい料理を提供すること、心地よいおもてなしをすること。私たちは、飲食業界で働くすべての人が「人が人らしく没頭できる未来」を実現するために、これからも全力で取り組んでまいります。
多店舗展開をされている、あるいはこれから目指している飲食企業の経営者の皆様、ぜひ一度FLAROをご検討ください。皆様の経営の「見える化」と成長を、全力でサポートいたします。


企業名 : 株式会社flaro
代表者 : 安部 修平
所在地 : 東京都新宿区西新宿6-11-3 WeWork Dタワー 西新宿
設立 : 2022年5月
従業員数: 20名
事業内容: 飲食業界向け経営管理プラットフォーム「FLARO」の開発・提供。クラウドPOS、受発注システム、入退社管理、グルメ媒体一元管理システムなどの連携による業務効率化支援、データ分析・経営改善コンサルティング。
URL : https://flaro.jp/