【株式会社やましたグリーン】
山下力人社長インタビュー
1977年東京都八王子市生まれ。高校時代より造園業に携わり、12年の修行を経て2008年に独立、2012年に株式会社やましたグリーン設立。同年「植木の里親」活動を開始、2021年には「もらえる植物園」をスタート。心理カウンセラー資格を持つ「心の庭師」として、幾度かの大怪我を乗り越え、環境循環型事業を展開。グッドデザイン賞BEST100、ソーシャルプロダクツアワード大賞など受賞歴多数。現在は環境創造会社としてSDGs達成やより良い環境社会の実現に取り組む。
小学生の頃、テレビで見た半纏(はんてん)姿の庭師の方がとても格好良く、憧れを抱いたのが最初の記憶です。その後、自然豊かな八王子で育ち、高校時代に夏休みなどを利用して地元の造園会社でアルバイトを始めました。そこで実際に植物に触れ、庭が美しく変化していく過程を体験し、この仕事を生涯の道にしたいと強く思うようになりました。
私が人生で大切にしているのは、常に「新しいことに挑戦する」姿勢を持つことです。現状に甘んじることなく、より良い未来や可能性を信じて変化を恐れずに進むこと。そして、その挑戦の過程で「学び続け、成長し続ける」ことです。仕事の技術や知識はもちろん、人としても日々進化していくことを心がけています。また、そうした経験も含めて「人生そのものを心から楽しむ」という感覚も非常に重要だと考えています。もちろん、大変なことや苦しいこともありますが、それを乗り越えた時の達成感、目標に向かって仲間と力を合わせる充実感、そして日々の仕事や暮らしの中にある小さな喜び(例えば、植物が育つ様子やお客様の笑顔など)を大切に味わうようにしています。
こうして私自身が挑戦し、成長し、人生を楽しむ姿を見せることで、「大変なこともあるけれど、働くことって、そして人生って、本当はすごく面白いし、楽しいんだよ」という前向きなメッセージを、これからの未来を担う若い世代、特に子どもたちに伝えていきたい。それが、私が人生を歩む上で特に大切にしている願いであり、原動力になっています。株式会社やましたグリーンで働く仕事のやりがいについて教えてください。
一番のやりがいは、私たちの仕事を通じて、お客様に心からの「ありがとう」をいただけること、そして緑が再生し、空間が見違えるように変化する瞬間に立ち会えることです。また、「植木の里親」のように、環境問題という社会課題の解決に直接貢献できている実感も大きなやりがいです。私たちの理念に共感してくれる若いスタッフと共に、技術を磨き、お客様や社会の役に立っていると感じられること、そして「庭師」という仕事の価値を高めていけることに、日々やりがいを感じています。
弊社の理念は「庭師を子どもたちが憧れる職業No.1にする」ことです。昨今、”庭じまい”をされる方も増えていますが、そのような時代だからこそ、私たちは「植木の里親」活動などを通じて、緑に関する社会課題の解決に取り組み、造園業全体の価値や職業観を高めていきたいと考えています。具体的な取り組みとしては、伐採される運命にあった樹木を引き取り再生させる「植木の里親」や「もらえる植物園」の運営が挙げられます。これらは廃棄物削減や緑地創出に繋がり、私たちの理念を具体化する活動です。
私たちは、初めてお庭を持つ方の”お庭づくり”(造園工事)から、完成後の庭木のメンテナンス、そして様々な理由で”庭じまい”をされる際の植木の引き取り(「植木の里親」事業)まで、お庭に関するワンストップサービスを提供しています。個人のお客様だけでなく、企業や団体の植栽管理や、それらのお客様に向けたCSR活動としての緑化支援なども行っています。また、八王子市唯一の市有日本庭園である「高尾駒木野庭園」の指定管理者も務めており、その管理で培われた高い技術力には定評があります。これらが弊社の事業内容であり、強みでもあります。
やはり「捨てる」を「活かす」に変える環境循環型のビジネスモデル、特に「植木の里親」や「もらえる植物園」を通じてゼロ・ウェイストを目指している点です。単に木を救うだけでなく、環境負荷低減や新たな緑の創出といった社会的価値を生み出しています。また、このような私たちの志に共感して、意欲のある若い職人たちが集まってくれていることも大きな特徴です。人手不足や高齢化が深刻な造園業界において、若い力が育っていることは、他社にはない独自性であり、差別化に繋がっていると考えています。
大きなものでは二度の怪我です。特に二度目の、伐採作業中の頸椎骨折は命にも関わる大怪我でした。実はその少し前、事業拡大を目指す中で一度は利益追求型の考えに偏りかけた時期もありました。しかし、この大怪我による入院期間中に、図らずも自分自身と向き合い、”考える時間”を得たのです。そこで、仲間やお客様、医療関係者の方々など、多くの方に支えられていることへの感謝と共に、本当に自分がやりたかったこと、つまり自然や命を大切にし、人との繋がりを大事にするという初心を思い出すことができました。そして、退院後、この経験を糧に、新たな挑戦として「植木の里親」事業をスタートさせました。苦しい経験でしたが、今の事業の根幹を再確認する重要な転機となりました。
短期的には、「植木の里親」や「もらえる植物園」の活動をさらに広げ、より多くの樹木を救い、緑を必要とする人や場所に届けていきたいと考えています。将来的には、この八王子から始まった取り組みを、全国、さらには世界へと展開していくことが目標です。
ビジョンとしては、「環境創造会社」として、緑を通じて人と自然、人と人が豊かに関わり合える社会を実現することです。造園業の枠を超え、環境問題や社会課題の解決に貢献し、未来の世代により良い地球環境を残していく。そんな企業であり続けたいと思っています。
企業名 : 株式会社やましたグリーン
代表者 : 山下 力人
所在地 : 〒192-0154 東京都八王子市下恩方町1207-9
設立 : 平成20年4月1日
従業員数: 10名
事業内容: 植木の里親・造園工事一式・樹木の剪定・外構工事一式・公共工事