【株式会社SIGNING】
亀山淳史郎社長インタビュー
1981年生まれ、東京都出身。2006年に早稲田大学文学研究科を卒業。広告会社を経て、博報堂に入社。2020年4月に、博報堂DYホールディングス傘下にソーシャルビジネススタジオSIGNING(サイニング)を設し、社会課題解決×事業成長をテーマにするソーシャルビジネスデザイン領域の業務を手がける。 2017年“プレミアムフライデー”のプランニング&プロデュースをし、新語・流行語大賞にノミネート。2019年にポイントドネーションWEBサービス“BOSAI POINT”をアスリート本田圭佑氏と立ち上げ、グッドデザイン賞を受賞。2020年から日本発クリエイティブオンラインビジネスイベント“Innovation Garden”を手がける。
2020年4月に博報堂DYグループ傘下の「ソーシャルビジネススタジオ」としてSIGNINGを創業しました。企業を取り巻くビジネス環境が、ESGや脱炭素やD&Iといった社会課題を解決しながらも事業成長をしていかねばならない、という意識の高まりとともに変化をしていました。また広告業界においても、社会変化のスピードが速まり生活者の意識や行動が多様に広がったことでクライアントの課題も高度に複雑になり求められる「クリエイティビティ」の拡張にも期待がされました。そうした中で広告会社の強みであるクリエイティブやデザインの力で「社会の課題」と「ビジネスの課題」を同時に解決したいと考え、クリエイター・ストラテジスト・プロデューサーら専門性の高いメンバーを集めて立ち上げたのがSIGNINGです。
SIGNINGのSignには「兆し」という意味があります。当社はアイデアを考える上で、まず、社会や未来の兆しを捉えることから始めよう、としています。まだ多くの人が気付いていないが必ず訪れるであろう未来の予兆を見つけられる想像力を持ったチームでありたいという思いを込めています。
またSignには「標識・看板」という意味もあります。兆しを多くの人の目に留まる「道標」として形にすることで、より良い社会と市場創造に向けて誘う存在でありたいという意味も込めています。
「社会の課題」と「ビジネスの課題」を、兆しの発見とクリエイティビティで同時に解決することです。
社会の変化の”兆し”を捉えた独自の調査レポートを公開しています。コロナによる暮らし・社会の変化を捉えた「Covid19-Social Impact Report」をはじめ、ウェルビーイング、若者のマイノリティ意識、「東京のクリエイティブな未来」、無宗教型スピリチュアル層SBNRなどさまざまなテーマのレポートを発信しています。大きなソーシャルアジェンダに取り組む視点というよりも、社員一人ひとりが持つ自身の問題意識からビジネスをクリエイティブできる自律性の高い環境作りを大事にしています。
これらのレポートは弊社のホームページに掲載して(https://signing.co.jp/report/)、クリエイティブコモンズとして、誰でも無料で利用できるようにしています。
独自のコアアイデア発想法を提供しています。我々は社会とビジネスを前進させるコアアイデアのことを「ソーシャルサイン」と呼んでいます。ソーシャルサインを導き出す発想法として「アウトフレーミング」(脱合理的に考えることで答えを見つける)と「サークルプランニング」(様々なステークホルダーのWinを叶えるアイディアを真ん中におこうという発想法)という2つの手法を提案しています。社会や文化にまで視点を上げることで、クライアントの事業に今までなかった視点での新しいソリューションを提供します。
2020年の4月1日、コロナ禍に創業し、一週間後に最初の緊急事態宣言が出され、予定されていた業務は多くが中止・延期となってしまったものの、後に引けない状況でのスタートでした。そんな中、「新しい世界に道標を」というスローガンで立ち上げました。先行きが全く見えなくなったなか、創業まもない当社では新型コロナウイルスによって起きる生活者の意識や行動の変化を調査し、リサーチを始めてから2週間というスピードで「Covid19-Social Impact Report」にまとめて発信をしました。そこには、新しい生活様式に迷いながらも移行していこうとする生活者の姿を捉えることができました。レポートをみて、飲食店・スクール・フィットネス・エンタメ施設・自治体などリアルプレイスを持って活動する企業からの問い合わせをいただき、ポストコロナの新事業への移行のお手伝いをさせていただきました。この経験から、兆しを捉えて自分たちの考えとともに発信することで、そこからパートナーを増やしビジネスを広げていくという当社の勝ちパターンが見つかりました。
ソーシャルビジネススタジオとして、国やメディアで取り上げられている脱炭素・SDGsといったビッグイシューへの対応をしていくことはもちろんですが、よりひとりひとりのパーソナルなイシューに向き合い、そこから新しい兆しを見つけ、それを解決するビジネスアイデアを作っていくことにも挑戦したいです。例えば、DEIB=Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括)、Belonging(帰属)の視点など、ミクロな課題の集合体がソーシャルイシューになっているというスタンスを大切にしていきたいです。
「どんな鳥も想像力より高く飛べる鳥はいない。」(寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』より)
当社は「両翼の経営」を方針に掲げています。イノベーションのために”深化”と”探索”の両方を推奨する『両効きの経営』(チャールズ・A・オライリー)への共感から、利き腕がないほどにちから強く”深化”(クリエイティブ)と”探索”(R&D)の両方を進めることで、想像力という翼でより高く飛べるように!という考えを込めています。
企業名 : 株式会社SIGNING
代表者 : 亀山 淳史郎
所在地 : 東京都港区三田
設立 : 2020年4月
従業員数: 33名
事業内容: コンサルティング、事業・商品開発、マーケティング、イベント運営、雑誌企画
URL : https://signing.co.jp/