【株式会社マスパック】
増田 昭雄社長インタビュー
1982年に横浜国立大学経営学部を卒業後、日本紙パルプ商事株式会社に入社。1988年に同社を退職し、同年、増田紙業株式会社に入社。2000年11月に株式会社マスパックの代表取締役に就任。現在に至る。
大学生時代は、120名を擁するサークル「民謡研究会合唱団」に所属し、ほとんど勉強をせず、サークル活動や夜の飲み会に励んでいました。
6年間の専門商社勤務時代には、海外本部で紙の輸出や三国間貿易を担当しました。紙の取引に関する基礎知識を学ぶとともに、神田駅から会社までの道のりは、朝は4分ですが、夜は3~4時間かかることもあり、そこでお付き合いを学びました。
いずれの仲間とも、今でも定期的にお会いし、旧交を温めています。
私が小学校3年生の時、父が脱サラして自宅で事業を始めたので、そのうちに継ぐのかもしれないと子どもの頃から思っていました。
1987年、就職して6年目に、大阪から父が訪ねて来て、「会社を手伝ってくれ」と言いました。就職先の会社ではそろそろ海外赴任の話が出ており、その時に決めないと4~5年は日本を離れることになるという事情もあり、父の会社への入社を決めました。
しかし、一番の決め手となったのは、父の次の一言でした。
「今、自分が倒れたら一番困るのはお前の母親やで」
2000年に社長に就任した後も、それ以前から進めていた東京での販路開発に努めましたが、業績は停滞しました。バブル崩壊の後遺症が残る中、2005年には売上が3億円を切り、利益もほとんど出なくなりました。「今なら誰にも迷惑をかけずに会社をたたむことができるかもしれない」と、廃業も頭をよぎりました。
そんな折、以前からご縁のあった先輩社長に相談に行きました。先輩はひととおり話を聞いたうえで、私の悩みを吹き飛ばすように、こう励ましてくれました。
「売上3億? その程度であれば、まず自分ひとりが頑張ればなんとかなるだろう。誰にも負けない努力をしろ。経営計画書を作り直し、そうだな、10年後は売上10億を目指せ。従業員の物心両面の幸福の追求という言葉がある。これを大事にしなさい」
先輩は励ましと同時に、具体的なビジョンを示してくれました。
会社は大きくなったらつぶれるという私の偏狭な考えは一瞬で吹き飛び、「10億を目指して頑張ろう。二度と廃業など考えない」という覚悟ができました。うまくいかない原因は、すべて自分の心の中にあったのです。
その後、それまで種をまき続けていた東京進出が軌道に乗ったこともあり、5年間で売上は倍増の6億円に達しました。
日記帳をつけ、日々振り返りと反省をしています。
1991(平成3)年3月、3階建ての新社屋の竣工に合わせて、増田紙業株式会社から株式会社マスパック(MASSPACK CO., LTD.)に社名を変更しました。この社名には、次のような思いを込めました。
という願いを込めて命名しました。
企業ロゴは、両手の上に箱を乗せたもので、パッケージをやさしく掲げているイメージであると同時に、マスパックの「M」を模しています。
ヤマダ電機さんのロゴに似ていると言われることもありますが、1991年当時、同社はまだ全国的に知られた会社ではなく、そのロゴも知りませんでした。
「マスパックと取引してよかった、マスパックに入ってよかったと思える会社づくりをしよう」
中でも「従業員が物心両面で豊かで幸福であること」を強く意識しています。
物とは、お金に代表される目に見えるもの。心とは、モノの見方や考え方など目に見えないもので、両方が豊かでなければ幸せにはなれません。
心を豊かにするためには、いい言葉を使い、いい考えを持つことが大切です。
しかし心は庭のようなもので、放っておくと雑草が生い茂ってきます。そこで毎朝の朝礼で、稲盛和夫さんなどの本を読むことにより、それを抜く作業をしています。

板紙・段ボールを素材とする、店頭ディスプレイ(販売促進用什器)の企画・製造・販売を行っています。
企画提案から製造、店頭への個別出荷まで、一貫してお客様の要望にお応えします。営業担当者は材料、加工、マーケティングなどの知識を有しているため、商談時に踏み込んだお話をすることができます。
その結果、コスト、スピード、クオリティーのいずれにもご満足いただけるものを提供しています。

店頭でゴンドラに並んだ商品は、他の商品との差別化が難しくなります。
消費者が一つの商品に目を向けるのは、わずか0.2秒とも言われます。手に取ってもらえる確率は非常に小さなものです。また、新製品がゴンドラ内にスペースをもらうことも簡単ではありません。
そのようなときに、ペーパーディスプレイや店頭ツールを使ってゴンドラから商品を出し、「アウト展開」をすることが、ブランド認知を高め、商品の売上向上に効果を発揮します。

コロナ禍で店頭からECへという大きな動きがありましたが、その後インバウンド客が戻ってきたこともあり、店頭は活気づいています。
その中で、販促ツールの果たす役割はますます重要になっていくと考えます。進化するWeb技術を取り入れた、デジアナ融合型の販促ツールも有効な手段となるでしょう。
社会的な責任を果たしつつ、社風を形作り、魅力的な会社にするために、これまで数多くの取り組みをしてきました。
それを数年前に「5つの経営」として体系づけました。これは硬直したものではなく、今後、6つ目、7つ目と増えるかもしれません。
1.フィロソフィ経営
稲盛和夫さんが説くフィロソフィに基づいた経営を行っています。
経営理念にある「従業員が物心両面で豊かで幸福であること」を目指して、「こころ」を高めるための取り組みを続けています。
2.ガラス張り経営
従業員が経営に参画するためには、会社の数字を含む情報をできる限り開示しなければなりません。様々な手段により、従業員の給料額とプライバシー以外は伝えるようにしています。
3.品質経営
2000年に制定した品質マネジメントシステムをもとに、品質の向上に励んでいます。そのための取り組みも欠かしません。
4.環境経営
地球の環境保全は、企業にとっても避けて通れない課題となっています。エコアクション21の活動により、その役割を果たしていきます。
5.健康経営
従業員が物心両面で幸福であるためには、全員が健康であることが重要です。2019年から健康経営に取り組み、外部の方の力を借りながら活動を続けています。ツキイチ保健室と健康経営委員会が共同で活動を推進しています。

経営理念、経営方針、6つのクレドに示しています。
経営理念:(前述のとおり)
経営方針:
私たち株式会社マスパックは、創造性に富んだ、安心して使える製品をスピーディーにお客様にお届けすることにより、社会の発展に貢献します。
クレド(行動指針)
1.3つの安全(安全第一)
① 製品の安全:店頭での事故ゼロ
② 製造の安全:工場内での事故ゼロ
③ 交通安全:自動車の運転や通勤途上での事故ゼロ
2.3つのコミュニケーション
① まず挨拶:あいさつこそが人との交わりの原点です
② 人の話をしっかり聞きます:まず聞くこと。早とちりや聞き違いはとても多いものです。確認のために復唱もします。
③ 人にわかりやすく簡潔に伝えます:どう話せば分かりやすく伝わるかを考え、説明より結論を先に話すことに努めます。
3.3つの笑顔
① お客様の笑顔:お客様に感動を届ける製品を作ります
② 仲間の笑顔:チームワークを大切に。次の工程のためにもいい仕事をします
③ 自分の笑顔:前向きな気持ちが仕事を楽しくします。自分の楽しい思いは周りに伝染します。
4.3つのクリーンアップ
① 環境のクリーンアップ:そうじ力を進化させます。会社を磨けば自分の心が磨かれます。
② 効率のクリーンアップ:ミスとロスを減らして仕事のムダをなくします。人のやり方をまねることも大切です。
③ 製品のクリーンアップ:一つの製品を作る仕事は、次の仕事をいただくためにするものと心得ます。
5.3つの感謝
① 仲間への感謝:相手をほめ、感謝する心を持ちます。
② 仕入先、外注先への感謝:パートナーとして謙虚に接します。もらい物はしません。
③ 物への感謝:もったいないの心を持ちます。
6.3つの「なります」(成功イメージ)
① マスパックは感謝と積極性があふれる会社になります。
② マスパックはお客様の売上が伸びるシーンをお手伝いする会社になります。
③ マスパックはお客様にとって単なる業者ではなく、感動度が高いパートナーになります。
前述の経営理念を共有できる人、明るく前向きな人です。
2026年6月期には11.8億円の売上高を上げることができました。
私自身は3年後、70歳になる前に引退し、後継者である長男に引き継ぐ予定です。それまでに、自分が引き継いだ時の5倍である売上高15億円を達成します。その後、長男が100億円を目指してくれることでしょう。
成長のための事業多角化としては、飛び石戦略は取らず、今扱っている製品のすぐ横にある商材を扱う「川幅戦略」、前後の工程を引き受ける「川上川下戦略」を進めます。
また、昨年竣工した新社屋を活用し、医薬部外品・化粧品の包装作業なども行っていきます。
さらに、ここ数年は営業を含め20歳代の採用を強化し、全従業員のうち20歳代が3分の1以上になりました。彼らの成長とともに、会社も成長していくことは間違いありません。
大手広告代理店の電通が毎年発表する「日本の広告費」によれば、POPカテゴリーは1,540億円とされています。マスパックのシェアはわずか0.6%です。これを10%にすることは、さほど難しいことではないと考えています。
人の人生は、どの山に登るかを自分で決めることによって始まります。
低い山でよければ、準備するものは少ないかもしれませんが、高い山に登ろうと思えば、それなりの知識、トレーニング、金銭や人脈を用意しなければなりません。
昨今の労働環境改善により、周りが準備してくれるものはなくなり、すべてを自分で決め、行動しなければならなくなったと言っていいでしょう。自分がどの山に登るのか覚悟を決め、行動を始めるのは早いほうがいいと思っています。

企業名 : 株式会社マスパック
代表者 : 増田 昭雄
所在地 : 大阪本社:大阪府摂津市南別府町1-3
東京本社:東京都中央区八丁堀3-19-9 トーエイ八丁堀ビル2階
設立 : 1973年(昭和48年)4月
従業員数: 52名(連結で)
事業内容:
1. ペーパーディスプレイ・POPの企画、製造、販売
2. デザインパッケージの企画、製造、販売
3. 医薬品パッケージの製造、販売
4. 医薬部外品および化粧品の製造(包装・表示・保管)
5. その他関連印刷物の企画、製造、販売
6. 上記(1~5)に附帯する一切の事業
URL : https://masspack.co.jp/