【株式会社スマートショッピング】
林英俊社長インタビュー
前職Amazonで定期購入サービス(定期おトク便)のオーナーを長くしてました。立ち上げを経験しました。定期購入は本当にドンピシャで届かない。なぜか。
何日で使い切るか知らない、シャンプーの頻度を正しく選べるはずがない。たとえ78日と数えられても、1ヶ月・1週間単位の選択肢からは正しく選べるはずがない。モノの残量・消費データが鍵で、それがあれば買い物の未来を創れると思ったのが起業のきっかけです。
京都大学では大学院まで6年間コンピュータサイエンスを学びました。
その後、新卒でローランド・ベルガーに入社。電機・自動車・小売・ヘルスケア・メディアなど幅広い業界に向け、成長/マーケティング戦略の策定、経営体制の整備、海外進出支援など、戦略コンサルティングに従事。
2012年にアマゾンジャパン株式会社に移り、プロダクトマネージャーとして、会員サービス(Amazonファミリー)と定期購入サービス(定期おトク便)の立ち上げ・マーケティング、プライシング戦略の策定、新規事業企画を担当し、日本のeコマース市場を開拓。
2014年に、大学時代からの友人である志賀と共にスマートショッピングを共同創業しました。
“インサイドアウト”(主体性)、これは大学時代、尊敬する社会人の先輩に勧められてたまたま読んだ「7つの習慣」という本の中で1つ目の習慣として出てきた言葉です。この言葉に感銘を受け、いろいろ自分にはどうにもできないことを嘆かず自然と前向きに、今ある環境をむしろ楽しむということを、実際自分の人生においても実践をこころがけています。
行動を起こし物事を前に進め、進化させていくためには、自分がコントロールできるインサイド(影響の輪)に集中し、そこからアウトサイド(関心の輪)に自然と働きかけていくべきである。もちろん、物事を起こそうとすれば、色々なことが起こるが、人間には”意思決定して選ぶ”能力がある。アウトサイドをなげくのは、労力・時間共に勿体無いし、逆にインサイドが縮む。極端に言うと「雨が降って辛い思いをしても、自分のせい」。例えば、事前に雨雲見て、それに備える意思決定はできる。色々遅れることを見越して、移動のタイミングを変える意思決定はできる、まさに人生を歩む上でも大切にしていることです。
上記の通り、スマートショッピングは、ショッピングの未来を作るべく、消費者向けの事業で会社をスタートさせました。そのサービスの原点がそのまま企業名、ロゴとして表現されています。
今では、事業がショッピングに限らず、在庫管理・工程改善・サプライチェーン改善と領域が広がっています。大きな意味で世の中のモノの動きを変える、スマートにすることを目指しているので、社名変更も検討中です。
リアルタイム実在庫の見える化で在庫管理・工程改善DXを実現するSaaSサービスです。IoT重量計「スマートマット」が”重さ”で様々な現場のモノの実在庫を自動把握。それをどこからでも確認・アラートが受け取れて、実在庫データからさらなる改善もできる仕組みです。モノの流れを、重さという最も単純で基本的なものを活用し見える化する、というユニークなアイディアが、従来難しかった現場の様々なモノの流れを見える化、管理を自動化しカイゼンやDXを進めることを可能にしています。
この簡単にできそうで、ほとんど誰もまだできていないのは、クラウドネイティブな思想で設計されたIoTデバイスと、そこからの生データを基に”モノを数え、その流れを見える化”するアルゴリズムを備えたクラウド上のソフトウェア、が事業の肝であり、その強みでもあるからです。この組み合わせが、機器の作り込みを得意とする機械メーカーや、機器を持たないソフトウェアメーカーに対し、非常に強い競争力を発揮していると考えています。
現場のモノの実在庫の動きをリアルタイムに捉えたデータのことを、「リアルタイム実在庫」と呼んでいます。従来から、店舗から倉庫、工場の中まで、モノの流れや量を確認するために、労力をかけモノの数を数えていました。
実際の現場では、モノが壊れたり、紛失したり、入荷が遅れたり、生産が止まったり、盗まれたり、様々な問題が起こっています。これらの問題を完璧に解決するには、365日24時間、実在庫を見続ける必要がある。それがわかっていても、人間の限界は超えているが故に、ある程度諦めているのが現状でした。
IoTの力で、完璧にモノの流れが見えると、業務がスムーズになり、仕組みも最適化できます。それだけでなく、そのデータを使うことで、従来は難しかったレベルの現場カイゼンを進めたり、DXを可能にすると考えています。人手・場所の限界も超えて、今までなかったデータを提供する、パワフルなコンセプトです。
例えば、今力を入れている製造業などでは、お客様から「確かに従来は見て見ぬふりをしていたさまざまなモノの流れを見える化することは、今のますます複雑化するモノづくりを取り巻く環境を生き抜くために、意義が小さくない」という声も頂いています。
DXブームからしばらく経ちますが、もうそろそろDXを通じた”結果”を問われるタイミングに突入しています。日本のモノづくり企業を始めとする様々な企業は、手応えのあるDXを進められていないことが明らかになってきています。これにはいくつか原因があると思っています。
そもそも、DXで結果を出すための、有効な”新データ”がなかったのではないかと思っています。手当たり次第にデータを集めて、多数のグラフを見ているが、「ふーん」で終わってしまう。リアルタイム実在庫のような、本当に有効なデータが揃っているDXは見たことがありません。有効なデータがなければ、DXを通じ現場を動かすための有益な示唆も得られませんし、実際動かすこともできません。
また、現場がこれらデータやツールを使いこなせるかどうかも、ポイントだと考えています。ビックデータを解析しトップダウンで物事を変えるだけのDXでは、現場は動きません。特に、”現場”こそ競争力の源泉である日本の多くの企業においては、これは致命的なことではないでしょうか。我々の「スマートマットクラウド」では、直感的でだれでも使えることを目指していて、現場DXを進めるためのサービスでもあります。
これらが揃わないと、単に、データ入力だけが増える、単なる業務効率化に陥ってしまう。そんな姿をよく見ています。
モノの重さを利用して、現場のモノの流れを見える化するというアイディア自体が、ありそうでない、非常に独自のサービスを産んでいると思っています。モノの把握では、RFIDと比べられることもありますが、難しく・面倒・コストもかかるので、乗り換えていただける。
ローンチから5年経過した今も、大きな競合はいません。その理由は、2つの強みの両立であると考えています。
● 1つ目はクラウドネイティブのIoT。「賢いクラウドとシンプルなハード」、本物のIoTを作れる会社は意外と少ない。ハードがとりあえずネットにつながるオンプレIoTが多い。テスラと普通の車の最大の違い、TVのリモコンに大量のボタンがあるのも、ここに起因してます。
● 2つ目は泥臭いカスタマーサクセス。我々すでに900社の現場を経験しています。棚割・適正在庫から、カンバンの設定まで一緒に考えて、提案します。これは大手ネット企業には手が出ない泥臭さです。
現在は製造業、病院・クリニック、ホテルなどのお客様に多くお使い頂いています。これからもまさに現場を変えたい、現場DXや高度なモノづくり現場・サプライチェーンにチャレンジしていこうとしているお客様と、共にその課題を解いていきたいと思っており、その様な方にサービスを届けていきたいと考えています。
企業名 : 株式会社スマートショッピング
代表者 : 林 英俊 / 志賀 隆之
所在地 : 東京都品川区西五反田2-1-22プラネットビル5F
設立 : 2014年
従業員数: 69名
事業内容: リアルタイム実在庫の見える化で在庫管理、工程カイゼン・DXを進めるIoTソリューションの提供