【鮨 神楽】
望⽉将代表インタビュー
しっかりとした決め手はなかったと思います。それでも漠然というわけでもなく高校受験の時には調理師になることは夢ではなく目標になっていたと思います。それから高校の調理科、専門学校での学習や実習で実現への具体性を上げていったという感じだと思います。
幼少期から両親が共働きだったので自然と晩御飯の手伝いをしていました。その時に料理をすることに楽しさを感じたことがきっかけです。
静岡市出身、静岡農業高校から服部栄養専門学校へ入学、卒業後は「銀座久兵衛」で12年勤めさせていただき2年間の「鮨おにかい」への勤務を経て新橋にて「鮨神楽」を開店。現在4年目を迎えさせていただきました。中学高校時代はテニス部に所属し副部長・部長を経験させていただきました。そんなに強くはないです。「銀座久兵衛」時代は仕込み等は一通り身につけさせていただきました。カウンターでのお客様対応は最後の1年ほど担当させていただきました。「鮨おにかい」時代は今までの伝統的な仕事から、低温調理や揚げ物などの新しい取り入れ方等現代的な要素を取り入れた仕事を学ばせていただきました。
特にこれだ、という出来事はなかった(覚えていないだけかもしれません)と思いますが、自分の能力を向上させる上でただ漠然と数をこなすのではなく、頭を使って、できない原因を探しだし、なるべく最短距離で改善をした上で数をこなして仕事を浸透させていくということを自分なりに学ばせていただきました。あとはやはり自分の技術の向上や知識の蓄えはもちろん大切ですが、何よりもその努力の矢印の終着点にはお客様がいることを意識して忘れないということも学ばせていただきました。
「銀座久兵衛」時代とは大きく異なり、より現代的で革新的な仕事を学ばせていただきました。12年間伝統的な江戸前鮨で修行してきたという部分で自分で思っていたよりも鮨に対する考え方が固まってしまっていたことに気付かされたことが当時の学びでした。メニュー会議の場で自分では想像もできないアイデアに振れる場面も多く、何事にも常に視野を広く持っていないといけないということも学ばせていただきました。また店舗を運営して行く上での数字の部分は、多くのものを学ばせていただきました。
「鮨おにかい」での経験から自分の可能性が広がっていく感覚を感じていました。自分の積み上げてきたモノを色々な人に召し上がっていただいて喜んでもらいたい。
鮨の魅力を幅広く(老若男女、海外の方)知ってもらいたい、改めて感じてもらいたいと思い開業させていただきました。
清水エスパルスと飲酒です。ただ、お客様に自分の鮨を召し上がっていただいて喜んでもらうというモチベーションは常に一定で上下はしないという認識です。
何かを偉そうに語るほど長く生きてはいませんが、何にしても最終的な判断は自分がすることなので、他人のせいにしないということは大切にしています。また最近はSNS等で様々な場面に対し批判的な意見が多く、またそのような意見の方がより広がってしまう場面を目にすることが多い気がします。私自身はそういう流れに対して否定的(全てではないです)ですので、自分が経験したことのない事柄に想像だけで批判をしないよう心がけています。またその事柄が自分の経験できる範囲のことである場合は積極的に一度体験してみるようにしています。
新橋だから、ということはないです。ただ今の場所は駅や大通りからのアプローチが静かで飲食後に良い余韻の中お帰りいただけると思いこちらに開店しました。
シャリは硬めに炊き上げ3種のお酢をブレンドしています。酸味が目立つので角を取る役割で砂糖を少量加えています。マグロは「鮨おにかい」時代から信頼のおける仲買に引き続きお世話になっています。この方の目利きに絶大な信用を置いています。産地にこだわりはなくその時の自分の手が出る範囲のベストを仕入れています。
春なら桜、夏ならウナギ、秋なら秋刀魚や松茸、冬なら白子やあん肝など誰しもがその季節ごとに頭に思いつく食材はわかりやすく提供しています。
入店時からお客様のことを観察し、そのお客様がどのようなサービスを求めているのかを見極めています。積極的にお話しされたいのか、同伴の方と時間を過ごしたいのか、慣れないカウンターでの緊張していないか等その場、その人、その時に合わせたサービスを心がけています。
美味しいものを提供することは当たり前。常にお客様のために料理以外のところで付加価値をつけていく。
もちろん美味しいとおっしゃっていただくことは大変嬉しいことですが、料理を生業にしている以上美味しいこと自体は最低ベースであるべきだと考えます。サービス料はいただいていませんが、それなりのお値段をいただく以上より楽しく、より満足していただける時間を提供したいです。カウンターならではの、お客様の表情や仕草を読んでのサービスを心がけています。例としては今の時期(8〜9月)ですと浴衣を召されて来店する方がいますが、通常の服と違い帯で胃が締まるので本人の想像以上に満腹が早く来る場合があります。そのため、握りに入る前に「本日浴衣を召されていますが、シャリを少し小さめにご用意いたしますか」と伺うようにしています。またその場では大丈夫でも早めにお腹に溜まってくることもありますので「満腹感を感じましたらいつでも調整しますので遠慮なくおっしゃってください」と付け加えるようにしています。
とにかくお客様の表情や仕草をよく見るように心がけていますので、その場に応じた適当な対応ができていると自負しております。また緊張して召し上がっていただくと味がわからなかったり、お食事は楽しく召し上がっていただきたいのでより多くのコミュニケーションを取れるよう心がけています。
今自分がやっている仕事の先にお客様がいるということです。もちろん利益も大切ですがお客様が満足していなければ意味がないと思います。 そしてそれを忘れず続けることができればお客様と長らくお付き合いできるものと信じています。
鮨神楽に限ったことではないですが、大なり小なり自分が努力をして身につけた仕事、知識、経験を用いて品物を提供し、その場その時その瞬間に評価していただけることにはやりがいを感じています。
1人の板前としてはより良いものを提供するために日々研鑽を重ねていくだけですが、お店としてはより発展、安定を図るために店舗展開ができればと考えています。また昨今海外からのお客様も多く当店も例外ではありません。日々海外の方のお相手をさせていただく中で、日本の文化への関心の深さや学ぶ姿勢を知ることができ私自身も大変刺激をいただいています。日本の鮨という文化をより身近に、またさらに色々な人に知ってもらいたいという気持ちも生まれてきていますので、いつかは海外への出店もできたらなと考えています。
つい偉そうに綴ってしまいましたが、まだまだ半人前の若輩にすぎません。つたない筆ながら最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。ほんのひと言でも心に残るものがあれば嬉しく思います。これからもご指導いただければ幸いです。
店名 : 鮨 神楽
代表者 : 望⽉ 将
所在地 : 東京都港区新橋3-2-3 千代川ビル 1階
設立 : 2021年10月
従業員数: 3名