社長 企業 情報通信 卸売・小売

【株式会社旗指物】
加藤恭司社長インタビュー

【株式会社旗指物】<br>加藤恭司社長インタビュー

創業された経緯を教えてください。

私は、ITソリューション事業カンナビノイド専門のリキッド通販ショップという、二つの事業を立ち上げてきました。HSPやADHDの傾向があり、さらにプライベートでの出来事をきっかけに軽度のPTSDも抱えています。その影響から、現在でも電話対応など突発的な対人コミュニケーションが苦手で、基本的に電話には出ることができません。社会の一般的な働き方になじめない一方で、自身の内面に深く集中できる「ものづくり」の世界に強く惹かれ、独学でプログラミングを学び始めたことが、始めのITソリューション事業の創業の原点となりました。

当時は、国内のプログラミングに関する教育や資格制度は時代遅れの内容が多く、実践的ではありませんでした。加えて、著名な国内のプログラマーから「大学を出ていない人間や数学を知らない人間にプログラミングは無理だ」という発言があったように、独学者には逆風が強く吹いていた時代です。また現場でコードを書く人間が、マネジメント層よりも劣るといった偏見も根強くありました。

そうした周囲の先入観に抗うように、加藤は純粋に「コードを書く」ことに没頭し続け、海外のOSS(オープンソースソフトウェア)文化に支えられながら技術を磨いてきました。その成果の一つとして、開発した機械学習プロジェクトがGitHub Arctic Code Vaultに採用されるなど、評価も得ています。

機械学習(Machine Learning; ML)は、AI(Artificial Intelligence)の一分野で、データからパターンや規則を自動的に学習し、予測・判断を行う技術です。

“This course introduces principles, algorithms, and applications of machine learning from the point of view of modeling and prediction.”
— MIT OpenCourseWare, Introduction to Machine Learning

https://ocw.mit.edu/courses/6-036-introduction-to-machine-learning-fall-2020/

 

今まで苦労された経験、そこから学ばれたことを教えてください。

ADHDやPTSDといった特性を持つ中での社会生活そのものが、私にとっては常に試行錯誤の連続でした。また、プログラミングの道に進んだ当初は、無数の偏見にさらされながらも、自分のペースで学び・創り続けることに注力しました。

そこから得た最大の教訓は、「著名な人の意見や、多数派の偏見には、しばしば無知が含まれている」ということ。そして「恐怖の根源は”未知”である」との認識です。恐れずに手を動かし、知らないものを少しずつ自分の中に取り込む――そうしたプロセスこそが、困難を超える力になったと語っています。

 

加藤恭司社長が人生を歩む上で特に大切にしていることを教えてください。

加藤が最も大切にしているのは「常に卵の側に立つ」という姿勢です。これは村上春樹の言葉から引用されたもので、強者・体制側に無批判に従うのではなく、常に弱い立場の視点から物事を考えることを意味します。

また経営面では、マイケル・ポーター氏の理論を軸に、ビジネスとしての合理性と持続可能性を徹底して追求しています。その一方で、「倫理の設計」も事業の中核と捉えており、技術や利益だけでなく「どうあるべきか」という問いにも常に向き合いながら経営を行っています。

 

今後の目標やビジョンを教えてください。

株式会社旗指物のビジョンは、「理性と倫理の両立による社会変革」です。合理的なシステム開発力を強みにしつつ、カンナビノイドをはじめとする社会的に誤解されやすい分野においても、正確な情報と倫理的な視点からのサービス提供を目指しています。

今後は、カンナビノイド製品の啓発活動や品質保証体制の強化に加え、より安全で持続可能な製品供給の枠組みを整え、日本国内の誤解や偏見を一つずつ払拭していくことを目標としています。

 

株式会社旗指物の詳しい事業内容や強みを教えてください。

株式会社旗指物は、主に以下の2つの事業を展開しています。

1. ITソリューション開発
OSS文化に根ざしたソフトウェア開発を行っており、LLM (大規模言語モデル) など先端技術も積極的に導入しています。少数精鋭で運営される同社は、開発と経営の垣根がなく、現場主導で合理的かつ迅速な意思決定を実現しています。

2. カンナビノイド製品のEC事業
一昨年より本格始動したカンナビノイド製品のオンライン販売事業では、2年目にして合成カンナビノイド領域において業界2位のアクセス数を記録。製品の安全性、成分の透明性、法規制への厳格な対応に加え、利用者の心理的な安心感にも配慮したサポート体制が評価されています。

これらの事業を通じて、単なる商業活動にとどまらず、「知の共有」と「倫理的イノベーション」に貢献することを目指しています。

株式会社旗指物 イメージ

 

新たに始めたカンナビノイド事業の概要や科学的な根拠について教えてください

カンナビノイドとは、主に大麻草(Cannabis sativa)に含まれる化合物群の総称で、自然界には100種類以上が存在するとされています。最も知られるのはTHC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)です。
近年では、CBG、CBNなど他のカンナビノイドも注目されており、内因性カンナビノイドシステム(ECS)との相互作用を通じ、痛み・不安・睡眠・免疫調整など多岐にわたる作用が研究されています。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)や、イスラエルの大麻研究の第一人者であるラファエル・メコーラム博士らの研究をはじめ、PubMedやProject CBDなどの信頼できるソースからも、科学的根拠が蓄積されています。

– 米国の医療専門家による見解:
Dr. Ethan Russo:CBNの睡眠改善効果に関する研究
(参考サイト (https://ethanrusso.org))
Dr. Bonni
Goldstein:CBDがADHDやPTSDの補完療法として期待される可能性について

– その他の出典:
ProjectCBDやNIHなどによる、CBDの抗不安作用・抗炎症作用の報告

 

THC、CBDについて、日本の法律の見解など教えてください。

日本では昨年2024年12月に大麻取締法の改正が施行され、大麻由来の医薬品製造を可能にし、特にTHCフリーの大麻由来製品の流通を促進する法的枠組みが整備されました。この改正は、日本の大麻政策における歴史的な転換点として位置づけられています。
THCは引き続き麻薬として規制されており、認可された栽培以外では、大麻の販売と所持が処罰対象となっています。つまり、精神作用のあるTHCについては従来通り厳格な規制が継続されています。
CBDに関する日本の新規制では、CBD製品に含まれるTHC含有量の上限が設定されており、これは他国と比較して格段に厳しい基準となっています。
このように、日本のTHC・CBDに関する法的見解は、医療用途でのCBD製品の可能性を認めつつも、極めて厳格な品質基準を設けることで、安全性を最優先にしたアプローチを採用しています。この規制方針は、国際的な研究動向と医療効果への期待を踏まえながらも、日本独自の慎重なスタンスを反映したものと言えます。

 

CBD(カンナビノイド)に関して、日本で一般的に誤解されている部分など教えてください。

日本では「CBDなどのカンナビノイド=大麻=違法」という誤解が根強くありますが、そもそも大麻に依存性は認められておらず、WHO(世界保健機関)も安全性を認めています。

– 世界保健機関(WHO)の見解:
2020年報告において「大麻は比較的安全性が高く、依存性は認められない」との見解が示されています。
(参考資料:TNI Report
(https://www.tni.org/files/publication-downloads/cannabis_rescheduling_global_intro_0.pdf))

 

取り扱いが難しい商品に対して、規制を遵守するために貴社が行われていることなど教えてください。

当社では、カンナビノイドやサイケデリックのような社会的・法的にセンシティブな製品を取り扱うにあたり、行政(厚生労働省や税関)、警察、そして市民団体との連携を重視しています。
社内では独自に法令・通達・国際ガイドラインに基づいたコンプライアンスチェック体制を構築しており、外部の専門家とも連携し、製品の安全性と合法性を二重・三重に確認しています。

また、有識者や現地研究者の意見を取り入れながら、カンナビノイドとサイケデリックに関する独自の利用ガイドラインの作成も進めており、利用者への教育・啓発にも力を入れています。

私たちは、単なる商品販売ではなく法令遵守と社会的責任を最優先に、正しい理解の普及を目指しています。

 

この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

私はADHDやHSP、軽度のPTSDを抱えており、特に感情を読む必要がある対人対応が苦手です。そんな自分でも働ける道を探し、独学でプログラミングを学びました。当時は「学歴がないと無理」「数学ができなければ無理」といった偏見が多くありましたが、そうした声には耳を貸さず、自分の手でコードを書き続け、コードから数学などの高次概念を理解していきました。

現在は、技術と倫理の両方を大切にする会社を経営し、CBDなど大麻由来のカンナビノイド製品の販売にも取り組んでいます。社会に誤解されやすい分野だからこそ、正しい情報と信頼できる選択肢を届けたいと考えています。

「知らないこと」が恐怖の原因になることはありますが、自分を疑う必要はありません。多数派の声が正しいとは限らないからです。この記事を通じて、少しでも読者の方が自分らしい道を歩むきっかけになれば嬉しいです。

株式会社旗指物 ロゴ

企業概要

企業名 : 株式会社旗指物

代表者 : 加藤 恭司

所在地 : 東京都新宿区四谷三栄町16番11号

設立  : 2013/10/28

従業員数: 3名

事業内容: マーケティング、デザイン、ソフトウェアエンジニアリングの分野で幅広いスキルと実績を持つプロフェッショナル。クリエイティビティと技術力を組み合わせ、顧客のビジネス目標達成から法令規則に則った各管理システムの実際の運用まで、総合的にサポート。

URL
■ 会社サイト:https://blog.routeflags.com/
■ 運営ショップ:https://www.thch-vape.shop/

NEW POSTS

【ハタ コンサルタント株式会社】<br>降籏達生社長インタビュー 社長,企業,学術研究・専門技術サービス,教育・学習支援

【ハタ コンサルタント株式会社】
降籏達生社長インタビ...

【樋口メリヤス工業株式会社】<br>中江優子社長インタビュー 社長,企業,製造,卸売・小売

【樋口メリヤス工業株式会社】
中江優子社長インタビュー

【株式会社アーキテクト】<br>石川智哉社長インタビュー 社長,企業,卸売・小売,宿泊・飲食サービス,生活関連サービス・娯楽

【株式会社アーキテクト】
石川智哉社長インタビュー

【テックマークジャパン株式会社】<br>長谷川俊哉社長インタビュー 社長,企業,学術研究・専門技術サービス,その他

【テックマークジャパン株式会社】
長谷川俊哉社長インタ...

【株式会社メディアリーチ】<br>松村俊樹社長インタビュー 社長,企業,情報通信

【株式会社メディアリーチ】
松村俊樹社長インタビュー

【株式会社クラリスキャピタル】<br>牧野安与社長インタビュー 社長,企業,不動産・物品賃貸,学術研究・専門技術サービス,複合サービス

【株式会社クラリスキャピタル】
牧野安与社長インタビュ...

CATEGORY